市場での息抜き
ヒルデを追いかけるアレイシャ達。
次の目的地は流通物資の審査をする中部市場。
そこでヒルデに関係する情報は得られるか。
山を下りたアレイシャ達は中部市場へと向かう。
「ここがその中部市場ね」
「とりあえずヒルデについて訊きましょ」
「ですね、簡単にいくといいですが」
「とにかく行動あるのみよ」
そうして市場の中を見て回る。
隣国が戦争をしているとはいえこの国までは大きな被害もきていないようだ。
「どうだった?」
「駄目ね、やっぱり酒場とかに行くしかなさそう」
「情報源と言えば酒場よね」
「なんにしても行くしかないですね」
そうしてアレイシャ達は酒場へ向かう。
「賑わってるわね、昼間なのに」
「今は休憩時間ですから」
「あー、そういや昼時だわ」
「私達も何か飲んでいく?」
そんなときだった。
「あんた達…美人だな」
「あら、どうも」
「酒場の人ですか?」
どうやら酒場の従業員のようだ。
「そうだ、給料は出すから働いてみないか?」
「は?そんな簡単にいいんですか?」
「お金を出してくれるなら別にいいけど」
そんな流れでセクネスとアナスティアが酒場で働く事になってしまった。
アレイシャとエロイーズはそのまま客として席に着く。
「制服はこれな、昼時が終わるまでが仕事だぜ」
「私はいいんですけど、アナスティアは入りますか、この服」
「うーん、少し無理をすれば」
その頃のアレイシャとエロイーズは軽い食事を摂っていた。
「美味しいわね、このニョッキ」
「あなた、若いのにお酒に合うものが好きなのね」
そしてセクネスとアナスティアも緊急の人員として駆り出される。
「…アナスティア、やはりキツいのでは?」
「そうねぇ、胸がキツいのは確かよ、ボタン開けていい?」
「それは勘弁してくれ、ヤローどもの視線がいっちまう」
とはいえその豊満なバストにはボタンを開けずとも視線は集まるようで。
とりあえずはそのまま仕事に移る
「オーダーです!ガーリックトーストとジンジャーエール!」
「はいよ!」
セクネスはキリキリ働いている。
一方のアナスティアは。
「誘いは嬉しいけど駄目よ、今はお仕事中」
「つれないねぇ、でもせっかくだから注文しちゃうぜ」
なんだかんだで売上には貢献しているようだ。
アナスティアのそのフレンドリーな性格が幸いしているのか。
「あの二人働くわねぇ、労働の喜びってやつかしら」
「まあ子供のときから働いてたものね、こんなの軽いわよ」
そうしてセクネスとアナスティアの働きもあって昼時を乗り切る。
「助かったぜ、あんた達二人には裏メニュー出してやるよ」
「あら、嬉しい」
「では甘えておきます」
そうしてマスター秘伝の裏メニューがセクネスとアナスティアに振る舞われる。
それはチーズソースたっぷりのチーズペンネだった。
好みで粗挽き胡椒をかけて食べるらしい。
「美味しいですね」
「ええ、シンプルだけどそれが逆にいい味を出してる」
「そいつはどうも、こいつはまかない飯で常連だけに出してんだ」
こういうシンプルなものはアナスティアはレシピを知りたくなる。
一応訊いてみたものの教えてはくれなかったようで、残念そうな顔をしていた。
「それより本題よ、あの、ヒルデっていう人の事を知らないかしら」
「ヒルデ?うーん、そういや二年前にそんな人が来てたな」
「どこへ行ったとか分かるかしら」
マスターは記憶を絞り出す。
「確か…北西にある食品工場の街に行ったぜ、それ以上は分からないな」
「ありがとう、それで充分よ」
「食品工場の街、お金を貯めているなら何かをしてそうね」
そうして食事も終わりセクネスとアナスティアは給料をもらう。
それを受け取りお礼を言って店をあとにする。
その足で宝石関係の店に行き、先日のスタールビーを加工してもらう。
それによりアナスティアが使う指輪が完成した。
酒場で働いたという事もあり、思わぬ時間を食ってしまった。
今日はこの中部市場で一晩を明かす事にした。
明日改めて北西にある食品工場の街へ向かう。
ヒルデに追いつくにはまだ時間がかかりそうである。