天使の心
死龍の祠の調査を終えたアレイシャ達。
そこで今までのように今回も死龍本人と出会う。
そんな中またしてもその感覚を感じ取る。
白フードから何か聞き出す事は出来るのか。
「お前が噂に聞く天使を名乗る白フードか」
「死龍、死してなお神としての地位にある不死の神か」
「あんた、今度こそ何か聞き出してやるわ」
「でもあなたも龍の神達と同じで無関係な相手は襲わないのよね」
それは以前も言っていた事だ。
白フードも無益な殺生は好まないようで、アレイシャ達と敵対する気はないらしい。
「だからってこっちとしてはあんたの謎が気になってるのよ」
「そうだな、人にあらざるものを感じさせる、お前は本当に人なのか?」
「人だ、それに偽りなどない」
「でも人にあらざるものを感じさせるのなら人であって人でない…と?」
人であって人でない、それはシファのような人の手で造られた生命体か。
それとも人の体を使った何かなのか。
そんな疑問の中でも白フードは自分は人だと頑なに言う。
それは人だという事を自分の心に言い聞かせているようでもあった。
「人であると言いつつも人ではない何かを感じる、お前は何者だ?」
「それをはっきりさせたいものですね、先日岩場で黄昏れていた事と関係でも?」
「どこか懐かしさを感じる、それがあの場所にあっただけだ」
「つまり異世界というのはまんざらでもない、という事ですか?」
白フードはそれ以上は語ろうとはしない。
だがあの岩場で何を感じていたのか。
それは本人にしか分からない事なのだろう。
だが死龍もその異質な何かは確かに感じ取っている。
白フードは人だと言うが、それとは別に何かも感じる。
その感じるものは白フードの過去に関係しているのか。
「でもあなたの声からはどこか寂しさを感じるわ、違うの?」
「あなたが憎んでいるのは宗教であり人ではない、という事でいいのですか?」
「そうだ、私は人を憎む理由もない、だが宗教を憎む理由はある」
「それは過去に何か酷い目に遭わされている、そう解釈していいかな」
死龍の解釈である白フードの過去。
憎む理由としては充分すぎるであろう。
白フードは詳しくは語らないものの、それは当たっているように思える。
エメラダ教の裏の顔、エロイーズがスパイとして育てられた話。
それは憎む理由にもなる裏の話なのか。
そんな理由については分からないままである。
「まあいいさ、お前も敵対する気がないならこっちも手は出さない」
「勝手にしろ、私も意味もない争いはしたくないからな」
「あんたは結局何がしたいのよ」
「それだけでも教えてくれる気はなさそうですね」
白フードはぼかしつつも少しは語っているのだろう。
それでその奥にあるものは見えてこないが。
「私は行く、さっさと調査を済ませて以前言った場所へ行くといい」
「行ってしまったか」
「結局なんだったのよ、もやもやするわね」
「彼女なりの考えはあるんだと思うわよ」
とりあえずは調査は終わりなので外に出る事に。
死龍は一応仲間に話だけはしておくと言い去っていった。
洞窟の外に出ると案内してくれた部族の若者が待っていた。
そうして集落に帰り次の目的地を考える事に。
「待っていましたよ、その様子だと終わったんですね」
「ええ、何事もなくね」
「それで次の目的地も考えないとね」
「早く帰りましょう…あれ?なんか目の前がぼやけて…」
帰ろうとした矢先アナスティアが倒れ込む。
そんな中街のパブのマスターの言葉を思い出した、この国は病気などもあるという事を。
「アナスティア!」
「…酷い熱ですよ、病気にでもやられましたか?」
「今の季節は蚊は飛んでいない…ですがどこかでウィルスをもらったんだと思います」
「とにかく看病しないといけませんね、集落に戻りますか」
そのまま集落に足早に戻る。
アナスティアの治療をせねばならない。
「絶対に助けます…絶対に…」
「セクネス、気持ちは分かるけど冷静になるのよ」
「部族に医術の知識のある人もいます」
「ならそれを頼りましょう」
そうしてアナスティアを担ぎ集落へと戻る。
小屋を借りてそこで看病をして様子を見る事に。
どこでその病気をもらったのか、治療法も探す事に。