死龍の祠
部族の集落で一晩を明かしたアレイシャ達。
その日の朝部族の若者が迎えにくる。
彼に案内されそのまま死龍の祠へと案内される。
死龍とはどんな相手なのだろうか。
「死龍の祠はこの先です」
「祠への道はそんなに険しくもないのね」
「そうね、あの岩場を見てるからもっと険しいかと思ってたわ」
「でも楽に行けるならそれに越した事はないわよ」
そうしてしばらく歩くと洞窟が見えてくる。
どうやらここが死龍の祠のある洞窟のようだ。
「ここです、洞窟は結構深いので気をつけて、私はここで待っていますから」
「分かったわ、それじゃ行ってくるわね」
「少し長くなるとは思いますので」
「では行って参ります」
部族の若者を入り口に残し洞窟へと足を踏み入れる。
その洞窟は暗く所々に骨が散乱していた。
動物の骨のようだが、どうにも不気味である。
こういうところは死龍という名前を感じさせてもくれる。
死龍、俗に言うドラゴンゾンビである。
そんな龍まで神になれる辺り神になるための条件のような何かがあるのだろうか。
「なんか不気味ね」
「動物の骨が転がっていますね、迷い込んだ野生動物でしょうか」
「それにしても、女だけのメンツなのにこういうの怖がらないわよね」
「怖がるような理由もありませんからね」
シファの言うように怖がるような理由は特にない。
全員幽霊とかも怖くないしこういう骨などの死体を見ても物怖じしない。
まあヒルデやエイルがこういうのを怖がっても違和感があるだけだ。
信じるとか以前に恐れる理由がそもそもないだけである。
「なんていうのか怖がりな人がいないっていうのも楽よね」
「分かりますね、なので危険なところにも平気で入れますから」
「あたしもセクネスも昔からそういうのを怖いと思った事もないもの」
「私は怖がってもいられませんし、そんなものは信じるだけにしていますよ」
存在は信じるものの怖がる理由がない。
そういう心構えがあるからなのか、怖いとは思いもしないようである。
そんな話をしつつ先へ進むと祠が見えてくる。
今までとは違うどこか不気味な祠である。
「これみたいね」
「とりあえず調査を済ませてしまいますか」
「さっさと終わらせんのよ」
「それにしても今までとは違って骨の祠なんてね」
そうして調査を続ける。
しばらくしてその調査を終えたとき背後から声がした。
そこにいたのは黒いローブに身を包んだ仮面の男。
どこか不気味な骨の仮面で顔を隠すその男が死龍のようだ。
「お前達か、我々について調べているというのは」
「あなたが死龍かしら」
「まーたオカルトみたいな格好してるわね」
「ですが声からして若い男性であるとは推測出来ますね」
死龍はアレイシャ達の事は聞いているので問題はないという。
もちろん彼もこちらに敵対の意思がない限り襲うような真似もしないという。
「それにしてもその仮面外したら?こういうときは外すもんでしょ」
「それは出来ない、礼儀というのは承知しているがな」
「外せない理由でもあるのかしら」
「実は恥ずかしがり屋とか」
フィセアの言う事もあれだが、そんな事はないだろう。
とりあえず少し質問をぶつけてみる。
「あなた達は結局私達に手を出す事はしないのよね」
「ああ、明確な敵意を示さない限り戦う理由はないからな」
「ならいいんだけど、無関係な人を襲う人もいるの?」
「龍の神とて様々でしょうからね」
死龍曰く、好戦的な神はいるという。
だが全ての神が持つ共通の考えとして戦意なき相手を襲わないという事があるらしい。
「つまりは無関係な人間なんかには手を出さないって事ね」
「なんか信念みたいなもんは持ってるのね」
「そうだな、我々は仮にも神だ、神たる者無益な殺生は好まない」
「貫いてる考えっていうのかしら、そういうのはあるのね」
そんな中いつもの気配を感じ取る。
死龍もそれを感じたようだ。
「噂の奴か、お前らも来い」
「そうね、今度こそ何か詳しく聞き出したいもんだけど」
「あの白フードですね」
「彼女から何か聞けるといいですが、とにかく行きますか」
気配のした方へと向かう。
今度こそ何か聞き出せるのか。
天使を名乗る彼女の秘密とは何なのか。