歪な岩場
死龍の調査の許可をもらうべく植物探しを始めるアレイシャ達。
指定されたのは未発見レベルの植物である。
そんなものが本当に見つかるかはともかくとして、行動を開始する。
その岩場はどこか歪な感覚を覚える場所でもあった。
「ここがその岩場なのね」
「何かしら、変な感じがするわね」
「ここは異世界に通じているとも噂されているのです、そのせいかと」
「そんな噂があったのね、とにかく奥へ進みましょう」
とりあえずは奥に進んでみる事に。
植物自体はそこかしこに見受けられるのだが。
「これはハズレですね、市販されてる薬草です」
「やっぱり入口付近じゃそんなのあるわけもないわよね」
「どの程度奥まで行けばいいのかしら」
「未発見レベルの植物なんてそれこそ人の行けるギリギリじゃない?」
そんな話をしつつ奥へと進んでいく。
入り口から少し入った程度ではやはり一般的な植物しか見つからない。
ヒルデが言うには、せめて発見されていても奥地で採れるものが理想と言う。
認められるのなら最低でも奥地まで入り込むのは必要になるかと言う。
その植物を探すのは容易ではないと改めて思う。
それでも諦める事はせずに、奥へと足を進める。
「ここでもまだ見つからないのね」
「そうですね、せめてもう少し奥、ですか」
「本当にきついですね」
「地形も複雑だしね、ここが部族の聖地なの?」
ヒルデの話では、部族の若者が試練を受ける場所らしい。
その試練が過酷なもの故にこの場所が聖地なのだと言う。
「ん?あの、これはどうですか?」
「そうですね、図鑑には載っていたはずです、ですが貴重なものですよ」
「これで認めてもらえないかしら」
「未発見レベルって言ってたけど、要するに奥まで行けって事とも解釈出来るわね」
その言葉を改めて考える。
そして考えた結果もっとレアな植物を探す事で決まる。
さらに奥まで進み植物を探す。
すると今度はヒルデも反応するものが見つかる。
「これはどうですか?」
「ふむ、これは図鑑には載っていなかったはずです、まさに未発見ですよ」
「それならこれで認めてもらえますね」
「帰る前にもっと奥に行ってみない?噂も気になるし」
エロイーズが気にしていた噂。
それを確かめるために一応一番奥まで行ってみる事にした。
奥へ進むとそこには明らかに違和感を感じる空間があった。
そしてそこには彼女がいた。
「あんた…」
「お前達か、相変わらず呑気なものだ」
「何をしているの?」
「こんなところでなんて」
白フードはそれには答えてくれなかった。
だがどこか憂いを感じたのも確か、そして去り際に。
「お前達もさっさと去れ、ここは厄介だぞ、私はもう行く、ではな」
「行っちゃったわね、なんだったの?」
「待って!何かがこっちに来るわ!」
「何あれ…気持ち悪いわね」
現れたのはこの世界のものとは思えない大きな口の異形。
倒すしかないと考え臨戦態勢に入る。
「こいつは恐らく近づくと捕食されるわ!距離を取って戦うのよ!」
「了解!私達で動きを止めるから一気に殴り倒しなさい!」
「ええ、細切れにしてあげますよ」
「餌にはなりたくないですからね」
とりあえずはエロイーズの銃と魔法を使い動きを止め一気に攻撃を仕掛ける。
耐久自体はないようで、簡単に倒せた。
「なんだったのよ…」
「異世界というのも満更でもないかもしれませんね」
「とりあえず帰って見せなきゃ」
「そうね、ここの事は結局分からずよ」
そうして集落に戻り長に手に入れた植物を見せてみる。
その反応はというと。
「ふむ、合格です、では死龍の祠には明日若いのに案内させますので」
「分かりました、では今日はここで一晩お願いします」
「明日の朝でいいわよね」
「とりあえず休みたいわ」
そのまま客人用の小屋に案内される。
今日は夕暮れなので休む事にした。
「龍の神の調査も楽じゃないわね」
「今までも何かとありましたしね」
「でもまだ先はあるわよ」
「だから体調は万全にですよ」
そんなこんなで今日は体を休める事に。
明日は死龍の祠へと案内してもらう。
調査というのも楽にはいかないものである。