死龍の国
聖龍の調査を終えたアレイシャ達。
一夜を明かした後次の地であるウゲンドへとやってきた。
この国がある大陸は発展途上の国が多い未開の地。
そんな国で死龍の信仰を探す事となる。
「ここがウゲンドなのね」
「発展してるじゃない、未開ってほどでもないわね」
「発展しているのは首都周辺だけですよ、少し離れればそこは未開の地です」
「それより死龍について調べてみないとね、行きましょう」
そんなわけで情報収集を開始する。
そう簡単に見つかるものかとも思いつつではあるが。
「どうかしら」
「駄目ね、収穫なしよ」
「何か聞けると思ったんだけどね」
「そういえば死龍は死の龍ですよね?紫の龍ではなく」
発音が同じだから紛らわしいものではある。
死の龍と書いて死龍、紫の龍と書いてこちらも紫龍である。
とりあえずはもう少し情報を集める事にした。
何か聞けるといいのだが。
「どうだった?」
「駄目ね、やっぱり街の人からは聞けないわ」
「やはりパブにでも行くしかなさそうですね、今までのように」
「本当にそれよね、なら行きましょ」
そうして今回もパブを頼る事になる。
パブは情報屋としての役目も持っているので何かと役に立つ。
とりあえずはパブに移動して話を聞いてみる事にする。
今回も情報は得られるか。
「いらっしゃい、何か用かい」
「死龍の信仰について聞きたいのですが」
「この国にその信仰があるとは調べてあるの」
「何か存じませんでしょうか」
それに対してパブのマスターは何か頼んでくれと言う。
情報料代わりと思えば安いものではある。
とりあえずは鶏肉と豆の煮物とソフトドリンクを頼む。
この大陸の産業として鶏肉と豆が有名ではあるからだ。
「それで死龍だよな、それならこの国の南部に暮らす部族に会うといい」
「部族ですか?その部族が死龍の信仰を持っているのですね」
「でも簡単に会えるものなのかしら」
「会うだけならそうでもないのでは?」
パブのマスターの話では、会うだけなら問題はないという。
ただ話を通すには認められる必要があるそうで、そこは任せるとの事。
とりあえずはそれを頼りに南の部族に会いにいってみる事に。
頼んだものを平らげパブを出ようとしたとき呼び止められる。
「そこのお嬢さん、そんな格好してるとこの国じゃ危険だぜ?病気とかあるしな」
「あたし?ええ、覚えておくわ」
「確かにこの国は疫病などが動物や虫を介して運ばれたりしますからね」
「何か厚手の服でも調達する?」
とはいえアナスティアも平気ではあると言う。
これが思わぬ足止めを食う事に繋がらなければいいが。
とりあえずはそのまま南に暮らす部族に会いにいく事にした。
飛行船に乗り南の荒野に向けて飛ぶ。
しばらく飛ぶと都市部の景色とは一転して荒野が広がる。
そして部族の集落らしきものが見えてくる。
少し離れた場所に飛行船を下ろしてそこからは歩きだ。
部族の長に会えるといいが。
「止まれ、お前達は何者だ」
「死龍の信仰について調べているの、長に会えないかしら」
「危害を加えるような真似はしません」
「何かが必要ならそれも覚悟はあります」
部族の青年は少し黙ってから長の下に案内するという。
そのままついていき長の家に入る。
「死龍の信仰ですか、教えてもいいですが、一つあなた達を試してからです」
「それに認められたらって事ね」
「それで何をしろっていうのよ」
「何をするにしても覚悟は出来ています」
長はその試練を告げる。
それはここから西の岩場で未発見レベルの植物を見つける事である。
「未発見レベルって…本気なの?」
「はい、それが認めるための試練です」
「いいわ、どんなものでもいいのね?」
「それなら可能かと思われます」
その試練を受ける事で合意する。
とりあえずはヒルデの知識を頼るしかないが、きっと平気だと信じる。
「私がそれを選別します、ただし奥まで行きますからね」
「分かったわ、頼りにしてるわよ」
「こういうときのヒルデは頼もしいわね」
「そうですね、頼りになります」
そうして西の岩場へと足を踏み入れる。
そこは部族の聖地とも言われる岩場。
未発見レベルの植物は本当に見つけられるのだろうか。