神の姿について
食べ物を要求する怪物をなんとかやり過ごし聖龍の祠に着いたアレイシャ達。
とりあえずは祠の調査をすべく祠のある森へと足を踏み入れる。
だがその森はこの土地でも迷いやすいと有名な森。
はぐれないように気をつけつつ森の攻略を開始する。
「ここが祠のある森なのね」
「ここは迷いやすいと聞いています、はぐれないように」
「はぐれたら無闇に動かないのよ」
「では参りますか」
そうして森の中を進み始める。
似たような景色が続き錯覚を起こしそうな森だ。
「進めてるのよね?」
「問題ないかと、木が似てるようで微妙に違うので」
「ヒルデってそんなところまで見てるのね」
「これも傭兵としての生存する術なのかしら」
ヒルデを頼りつつ森を順調に進んでいく。
しかし相変わらず似たような景色が続き、他のメンバーは少々困惑気味だ。
それでも祠を目指して森を歩いていく。
迷いやすい理由が似たような景色が続く事による錯覚らしい。
それからしばらく歩くと目に見えて分かる違う景色の場所に出る。
どうやら迷いやすいエリアは抜けたようだ。
「景色が変わったわね」
「迷いやすいエリアを抜けたものかと、あとは進むだけですね」
「こういうときはヒルデって頼りになるわよね」
「ですね、経験が物を言う感じかと」
とりあえずは祠を目指して再び歩いていく。
そこからある程度歩くと祠が見えてきた。
「あったわ、これが聖龍の祠ね」
「とりあえず調査しちゃいましょ」
「そうですね、帰りの事もありますし」
「それにしても結構巡ったけど、まだいるのよね、龍の神様って」
龍の神はまだいる。
その信仰がある土地をもう少し巡った後白フードに聞いた滅びた街に行ってみようと思う。
今はそれはさておき、調査をする事に。
この地の信仰もそんな祠に見て取れる。
そうして調べていると何者かの気配を感じ取る。
そこにいたのは白い装束に身を包む老婆だった。
「あんた達かい、あたし達について調べてる変わり者ってのは」
「もしかして聖龍かしら」
「今回はお婆ちゃんなのね、神様の姿ってどうなってるのかしら」
「ですが貫禄はあると思いますよ」
そんな聖龍もアレイシャ達には興味を示す。
争うつもりはないが、骨があるとは思っているようで。
「ねえ、一つ訊いていい?神様の姿と年齢ってどうなってるの?」
「神の姿は人間の世界に合わせてるだけさ、ちなみにあたしは緑龍より歳下だよ」
「つまり神様の姿って決まってないって事よね」
「でしょうね、固定された姿を持たない超常のようなものかと」
聖龍曰く神の姿と年齢は見た目とは一致しないらしい。
緑龍はロリババアだったが聖龍は老婆の姿でも年齢では七番目だという。
それは人間の視覚情報の関係なのだろう。
緑龍が龍の神の中では高齢だったが姿は幼かった。
そんな姿と年齢の不一致こそが神たる所以なのか。
面白いものが世の中にはあるものである。
「お前達はあたし達を不思議に思うかい」
「そうね、不思議には思うけど神様と思えば納得かしら」
「本当よね、神様だからって考えれば自然と納得よ」
「とはいえ神という存在自体が私からしたらどうにも不思議ですけどね」
聖龍曰く神は意外と身近な存在だという。
実は神は人間に擬態して人間界に遊びにきたりしているとか。
完全に擬態しているため判別はほとんど不可能だとも言う。
それを知ったアレイシャ達は神様も実は人間が好きなのかとも思った。
「神も人間界にお忍びで遊びにきている、尤もそれを知る人間はおらんがな」
「それを聞くと神様って実は暇なのかしら」
「暇とかそういう問題じゃないと思うのだけど」
「でもそれこそ意外ですよ、神様って凄いのですね」
そうして話していると今回も例の感覚を感じ取る。
聖龍もそれを感じ取ったようだ。
当然行ってみる事になる。
例の白フードが今回も出たのだから。
「やれやれ、あんた達も来な」
「ええ、そうするわ」
「今度こそ正体を暴いてやるわ」
「あの白フードが何者なのか、ですよね」
そうして感覚のした方へと向かう。
白フードは一体何者なのか。
アレイシャ達は白フードから何を感じ取るのか。