白の中の黒
雷龍の祠の調査は終えたアレイシャ達。
そんな中またしてもあの感覚を感じ取る。
また現れたのだろうと思い外へ出る。
そこにはやはりあの白フードが来ていた。
「やっぱりあなたね」
「こいつが噂の天使様かい、白フードを深く被って不気味なもんだね」
「相変わらずだな、様子は見ているがこっちは争う気はないぞ」
「こっちも無駄に争うつもりはないわ、でもあんたの正体だけは暴いてやる!」
エロイーズが問答無用でフードの首元を狙って射撃を放つ。
だが今回は回避するのではなく銃弾を弾き返してきた。
「おっと、流石に怪我させたら責任問題になるんでね」
「あ、ありがとう、流石は神様ね」
「やれやれ、相手が分かってて喧嘩を売るか、次はないぞ?」
「しかしまさか銃弾を跳ね返してくる辺り、あなたも明らかに人間ではありませんね?」
白フードは触れる事なく銃弾を跳ね返してきた。
つまり魔法的な力で銃弾を跳ね返した事になる。
そこは天使様を名乗るだけはあるのか。
エロイーズも銃をしまい改めて白フードに問いかける。
「そんな芸当が出来るって事はあんた、どう考えても人間じゃないわね」
「だったらなんだ、私が人間だと思ってるならお花畑もいいところだな」
「つまりあんたは人間じゃない、いや人間の体に別の種族の体をくっつけてるね」
「それはつまりキメラ的なあれでいいのでしょうか」
雷龍の言う人間の体に別の種族の体をくっつけているという発言。
それは以前言っていた滅びた街に関係しているのか。
エメラダ教の業とはその事になるのだろうか。
雷龍は改めて言う、隠してるつもりだろうが神様にはバレているのだ。
「少なくとも神のあたしを騙せると思うんじゃないよ、それでもフードを被ってるかい」
「そうだな、お前達が真実を知ったのなら私も正体を明かしてやる」
「つまり例の滅びた街に行ってその目で見てこいと?」
「そうね、なら私達も今は龍の神様の方が優先だけど行く事は約束するわ」
白フードは人の業をその目で見るといいとだけ言う。
それがあるのがその滅びた街になるのだろう。
それが人間の業であり人の心の黒を知るだろうと。
白フードの心は黒く染まっている。
白い外見とは裏腹に心の中は暗黒に染まり切っている。
黒い感情に支配された白い天使、そんなところか。
「さて、私は今回は引き上げる、だが忘れるな、魔王という言葉の本質を」
「魔王?まあいいわ、こっちは無駄に争うつもりはないから」
「あたしも引き上げるよ、あんた達は好きにしな」
「我々は下山しますか、とはいえ今から下山したら同じ山小屋でしょうね」
なんにしても天使様が言い放った魔王という言葉。
その憎悪の理由にあるものこそが魔王として映っているのか。
恐らく彼女の目には人間が魔王に見えているのだろう。
それが言葉の本質という問いかけになったのかもしれない。
雷龍も天使様も引き上げてしまったので、アレイシャ達も下山する事に。
とりあえずは来た道にあった山小屋までは行く事に。
雷鳴は相変わらずでありラバーコートは手放せない。
あとはスムーズに下山して山小屋に到着する。
そこで今日は休む事にした。
さっさと眠りそのまま朝を迎える。
朝になって早朝にそのまま下山する。
街に戻り気象庁の人にお礼を言い次の目的地を調べる事に。
「ここから一番近いのは西にあるスノウランドの聖龍になるわね」
「それはつまりホーリードラゴン的なものですか」
「白龍が氷だったからなんか紛らわしいわね」
「白龍も聖龍も同じ白でしょうからね」
なんにしても次の目的地はスノウランドにある聖龍に決まる。
スノウランドは世界でも西に近い位置にある国だ。
文明などはそれなりに発達していて自然もそれなりにある。
国としては先進国ではないが後進国でもない感じだ。
「それとその前にグルメ観光したいんだけど」
「そうですね、せっかくのフルンセですし」
「なら今日一日はグルメ観光で休息にしましょ」
「目的地は決まったからそれでいいわね」
そんなわけで出発前に休息も兼ねてグルメ観光をする事に。
次の聖龍の信仰とはどんなものか。
紛らわしい色も多いのは龍の神の厄介なところでもある。