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雷鳴の山

龍の神について調べて回るアレイシャ達。

現在は雷龍の祠を目指しフルンセ北部にある山へと登る事となった。

その山はとても高く祠があるのは八合目。

一日で終わるとは思えない登山の始まりである。


「近くで見ると本当に壮観な眺めね」

「ちなみにこの山は登山者が99%の確率で死ぬそうです」

「なぜそれを今言った!」

「大丈夫ですよ、たぶん」


フィセアはなんというか気楽なものだ。

とはいえ今までもなんだかんだで生きていられたのでたぶん平気である。


「ヒルデのせいですっごく気が重くなったんだけど」

「死んだら骨は拾ってあげますよ」

「ヒルデって容赦ないわよね」

「この容赦のなさもヒルデさんらしさではありますけど」


なんにしても山を登る事は決定事項である。

ラバーコートも借りているのでたぶん平気だろう。


とりあえずラバーコートを着込み山を登り始める。

その山はとても険しく登山者の命を喰らい続けた雷鳴山だ。


目的地である八合目を目指し山を歩いていく。

不安定な足元に落雷で地面が削られるためとにかく落ちないように進む。


「この山って本当にゴロゴロうっさいわね、空が下痢してんのかしら」

「エロイーズってもうクールでもなんでもないわよね」

「ついでに口は悪いですし、下品に磨きがかかってますね」

「山の天気は気まぐれですよ、そっちも気をつけてくださいね」


山の天気は気まぐれ、ヒルデはそれをよく理解している。

そうして歩いているうちに案の定雲がかかり始めた。


「おや、降りだしましたか」

「雨ね、私達はラバーコートを着てるけど、危険度が増すわよ」

「今はまだ二合目、この山じゃ山小屋があったとしても調査用のものぐらいかしら」

「それでもないよりはマシかと思いますよ」


雨が降り始めた山を足元に気をつけながら登っていく。

雷龍の祠があるというだけあり、都市部に比べ圧倒的に雷の規模が違う。


それこそ絶縁体がなければ落雷で消し炭になっていそうだ。

街と違い避雷針なんてものは山にはない。


つまり四合目辺りからは雷の危険性がさらに増す事となる。

だが目的のためにも恐れは捨て去らねばならない。


「やっと三合目ね」

「せめて四合目ぐらいまでは行きたいものですね」

「調査用のものでいいから山小屋があれば使いましょう」

「野宿して落雷を喰らいたくはないですからね」


とりあえずは今日の目標は四合目にしておく事に。

すでに街の観測塔よりも高い場所にいる。


当然落雷は激しくなり突然足元に落ちる事も珍しくない。

そんな雷鳴の轟く山を少しずつ確実に上へと登っていく。


「本当にこの山は耳に悪いわね」

「それも雨とのコンボだものね」

「ですが気まぐれという事は晴れる可能性もあります」

「晴れる事を祈りつつ上に進みますよ」


そのまま上を目指して山を登っていく。

しばらく進むと雨が止み空が晴れてきた。


だが雷鳴が止まる事だけは決してない。

晴れていようとも雨が降ろうともこの山には常に雷鳴が轟くのだ。


「流石に体力的にもしんどくなってくるわね」

「無理もないですよ、一応鍛えているとはいえ登山はそういうものです」

「思えば鍛えてるメンツも多いのよね」

「騎士とか元傭兵とかスパイとか体力がないとやってられませんよ」


そんな話をしつつ山を登り四合目に到達する。

山小屋がないかとヒルデが近くを見てきてくれる。


少しして調査用の山小屋を見つけ戻ってきた。

アレイシャ達もその山小屋へ移動し今日はここで休む事にする。


「さて、簡素な山小屋ですがないよりはマシでしょうね」

「そうね、あとこういう場所には保存食が置いてあるものよ」

「贅沢は言っていられませんからね」

「とにかく今日はもう休むわ、流石に疲れたもの」


そうして雷鳴の響く山小屋で夜を迎える事となった。

する事も特にないので、各自保存食で腹を満たしさっさと寝る事に。


「明日は早朝に出れば八合目に行けるかと」

「分かったわ、なら早朝ね」

「そんじゃ寝る!」

「流石に今日はぐっすりとはいかなそうよね」


そんなわけで今日はさっさと寝てしまう。

明日の早朝に八合目を目指し登山再開だ。


雷鳴の響くその山は命を喰らう魔境でもある。

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