次の龍の地
バカンスも兼ねて息抜きをするアレイシャ達。
そんな中次の龍の神に縁のある地を調べていた。
ここから近い龍の地。
調べる限りではどこも多少距離があるようで。
「次はどこにしようかしら」
「一番近い場所ではここから北西にある国の雷龍になりますかね」
「雷龍って雷の龍よね」
「そうなりますね、あとは比較的近くで空龍があります」
そんな比較的近くの龍の神を調べるわけで。
とはいえ出発は明日なので今はゆっくりしている。
「そうね、とりあえず雷龍に行くわ、それで決まり」
「分かったわ、飛行船はいつでも飛べるようにしておくから」
「頼むわよ、エイル」
「では今日は少しのんびりしますか」
そうして今日はのんびりする事に。
海には行かずに宿でゆっくりと休む事にした。
この国も自然もそれなりに豊かで空気が美味しい。
そして綺麗な海もあるので癒やされるものだ。
そんな海に囲まれた国の日差しはとても気持ちがいい。
ついうとうとしてしまうわけだが。
「今思えば何かとあったものね」
「そうねぇ、戦争から始まって世界を旅してたら遺跡から神様とかね」
「でもそんな経験もきっといいものになりますよ」
「私としてはアレイシャ様が生きていただけで幸せですけどね」
ヒルデの忠誠は揺らがないようだ。
だがアレイシャが本当は死んでいるという事は今でも黙っている。
あくまでも自分は人為的に生き返させられた生きる屍。
それはバレるときはバレるものと思いあえて話さないでおく事にしている。
食べ物の味を感じなかったりするようにそれにおける問題はあるわけで。
とはいえ生活したりする上では特に問題はないので、気にしてはいない。
「にしても伝説の傭兵が今はメイドやってるとか知れたらどんな反応になるかしら」
「きっと震撼が走るでしょうね、口説き落としたあの女騎士は何者だ、って」
「私はアレイシャ様に救われた以上その恩義に報いているだけですよ」
「義理堅いんですね、私も見習わなくては」
シファもメイドとしてヒルデから何かと学んでいる。
変な事まで覚えないかという事は不安ではあるが。
それでもヒルデもいい教え子としてシファに教育しているようだ。
やはり教え子が出来ると嬉しいものなのだろう。
「んで、ヒルデはシファに何を教えてるのよ」
「料理や掃除の事などの家事全般ですね」
「ヒルデの料理って豪快な男飯じゃないのよ」
「毎回あれ出されたら流石の私でもきついわよ?」
ヒルデは元々傭兵という事もあり簡素な食事や豪快な食事を好む。
その事もあってなのか、ヒルデが料理を作ると大抵は豪快な男飯が出来上がる。
肉マシマシとか炭水化物の大盛りとかまさにカロリーモンスターである。
とはいえ美味しいので文句が言えないのが悔しいところである。
そんなこんなで次の目的地も決まり、その日はのんびりしておく事になった。
そのあとは自由にして一夜を明かす。
翌朝宿をチェックアウトして飛行船に向かう。
そこで思わぬものに出会うわけで。
「あ、待ってましたよ」
「…あんたもしかしてあのときの人魚?」
「というか陸に上がっても平気なものなのね」
「それで何かご用ですか?」
その人魚はアレイシャ達を気に入ったらしい。
そして言った言葉は自分も同行させてくれとの事。
「私達についてくるって、水から離れても平気なものなの?」
「問題ないですよ、水がなくても普通に生きられます」
「だそうだけど、どうすんのよ?人数が増えていいの?」
「よほどの問題でも起こらなければ問題はないとは思いますよ」
ヒルデもそれについては特に問題はないと言う。
幸い隠密行動をする機会もあるとも思えないので。
そんなわけでその人魚を迎え入れる事で一致する。
まさかの話ではあるが。
「それで名前を聞かせて」
「フィセアと言います」
「フィセアさんですね、まあ面白いとも思えませんがよろしくお願いします」
「それじゃ次の目的地に飛ぶわよ」
そうしてフィセアを加え次の雷龍の地へと飛び立つ。
人魚の神秘を感じた話でもあった。
陸で普通に暮らせる人魚とは。