水龍の祠
散々走り回りなんとか薬を手にしたアレイシャ達。
祠があると言われた海の近くへと移動し薬を飲む事に。
海の中に祠があるというのも水位上昇の影響なのか。
何にしても薬を飲んで海に潜る事にする。
「それじゃ飲むわよ、少しで効果があるから」
「ええ、それでは」
「にがぁ~…クッソ苦いわね」
「我慢ですよ」
そうして全員に薬が行き渡る。
その苦い薬を少量一気に飲み干したものの体に特に変化は感じない。
「本当に平気なのよね?」
「なら私が先行しましょう、お先に失礼します」
「行っちゃったわね、上がってこないって事は効果があるみたい」
「私達も行きますよ」
アレイシャ達もヒルデに続き海へと潜っていく。
海に入って気づいたのは、確かに苦しくないし普通に呼吸が出来るという事だった。
「本当になんともないわ、魚人薬ってマジモンね」
「流石は魔女と言うべきかしらね、魔王と同じぐらい凄いわ」
「同列なんですか」
「とにかく祠に向かうわよ」
そのまま海底を歩き始める。
魚のような体質になっているのか泳げる事に加え水の中でも重圧を感じない。
しばらく歩くと海底に大きなくぼみを見つける。
どうやら海溝のようで、話に聞いた位置からしてこの海溝の中だと思われる。
アレイシャ達はその海溝に入ってみる事にした。
泳ぐ事が出来るので浮上は簡単だ。
「こんな場所があったのね、海溝なんて」
「元々深い場所ですからね、祠が海溝にあるという事は何者かが移動したのかと」
「少なくともそれしか思い当たらないものね」
「とにかく奥に進んでみましょう」
海溝の中を進み始めるアレイシャ達。
中は海溝というだけあって地底の底という感じだ。
所々に溶岩などもあり海底の灼熱地帯とでも言うべきか。
しばらく進むと開けた場所に出る。
「ここは…人がいるわ」
「おや、こんなところまで人が来るとは凄いですね」
「ここはなんなのかしら?」
「まさか海底人?」
その質問にその住民らしき人は自分達は人造生命体だと答える。
どうやら話によると遥か昔に作られた自分達がこの地に勝手に住み着いたという。
「人造生命体ですか、魔女とかそういうものなんですかね」
「さあ?それは我々も分かりません、創造主も生きているのかも」
「なんか大変ね、それはそうと祠を知らない?」
「祠ならこの先に進んだところにありますよ」
この集落らしき場所から南に進んだ先らしい。
お礼を言いあとで詳しく話を聞くとして今は祠を目指す。
そのまましばらく進むとその祠に到着する。
早速調査を開始する事に。
「これが水龍の祠なのね」
「海溝の中にまで移動している辺り、何者かが動かしたと見るべきですかね」
「にしても海の中って不思議すぎるわね」
「なんかキラビスに来てから不思議な事の総攻撃を受けてる気分よ」
そんな中背後から何者かの気配を感じ取る。
そこには中性的な顔立ちの少年がいた。
「君達が龍の神について調べてるっていう変わり者かな」
「もしかして水龍?」
「水龍は中性的な顔立ちの男の子なのね、女物の服を着せたくなるわ」
「エイルさんはそういう趣味なんですかね」
とりあえず水龍もアレイシャ達に牙を剥く様子はないようだ。
あくまでも敵対する意思がない事を確認だけしているらしい。
「それにしても変わってるね、僕達の仲間になりたいとでも言う気かな」
「それも考えてるけど今は答えは言えないわね」
「あとあんた達もなんだかんだで気になってんの?」
「それとも意思確認だけかしら」
水龍は今はその意思の確認だけだと言う。
だがアレイシャ達も興味があるから調べているわけで。
水龍曰く自分達はいつでも歓迎らしい。
尤もアレイシャ達が本当に気にしているのは、天使様とエメラダ教の事なのだが。
「おや、噂をすればなんとやらかな?君達も来るだろう?」
「そうですね、訊きたい事はあります」
「調査は終わってるし行くわよ」
「今度こそ化けの皮を剥いでやるわ」
それはお約束の天使様だろう。
天使様を名乗る白フードは何者なのか。
彼女が現れるのは何が目的なのだろうか。