魔女に要求されるもの
水龍の信仰を調べるべくキラビスにやってきているアレイシャ達。
だが街の人の話では祠は海の中らしい。
そこで聞いたのは魔女の存在である。
ダメ元で魔女の住むという森へとやってきていた。
「本当にこの森に魔女が住んでるのかしら」
「知らないわよ、でも自然は残ってるもんなのね」
「魔女、胡散臭いものですけどね」
「ヒルデはそういうの信じなさそうよね」
そんな森の中を歩いていると小屋が見えてきた。
その小屋だろうと思い扉を叩いてみる。
「すみませーん!」
「誰かいるかしら!」
「…留守かハズレか」
「はいはい、今開けるわ」
中から声がした。
少し待って扉が開き中から大柄な女性が姿を見せる。
「お客さんなんて珍しいわね、何かご用かしら」
「えっと、海に潜る手段を求めてきたんだけど」
「何か存じないかしら」
「海に潜らないといけないので」
魔女はとりあえず中へ入るように言う。
そこで相談だと。
「私は火柄、それで海に潜る手段よね?あるにはあるわよ」
「マジ?でもどうやるのよ」
「薬とか道具とかそこが問題なのですが」
「それでその手段ってなんなのかしら」
火柄曰く海の中で呼吸が出来るようになる薬があるという。
それも呼吸だけでなく海の中を歩いたりも出来るとか。
その薬は魚人薬といいそれを飲む事で海の中での活動を可能にするらしい。
アレイシャ達はそれについて尋ねてみる。
「その薬を作って欲しいのだけど、出来るかしら」
「作る事は出来るけど材料を今は切らしているわ、採ってきてくれれば別だけど」
「要するに材料を自分達で採ってきたら作ってやるって事よね」
「少し足止めですね、とはいえやるしかないのならやりますよ」
そんなわけで交渉成立である。
火柄にその材料を訊く。
「魚人薬の材料はキラビス海の水と砂鳥の卵と尾長鳥の巣よ」
「ふむ、名前からして砂浜と鳥の巣は高い場所ですかね」
「生息場所とか知らないんだけど」
「その鳥はどこに生息してんのよ」
火柄の話では砂鳥は海岸に卵を産んだあと小さなでっぱりを作るという。
尾長鳥は街の東にある岩礁地帯の高い場所に巣を作るとの事。
ただし警戒心が強かったり危険もあるので無茶はしないようにと。
それでも今さら引き下がれないので採りに行く事になった。
「私はいつでもいいから焦らずに行くのよ」
「分かってるわよ、それじゃ行きましょう」
「材料は必ず揃えてくるわね」
「では失礼します」
そうして小屋を出てまずは海の水を採取しに行く事にした。
適当な海岸に行けば海の水は採取出来るはずである。
そんなわけでまずは森を出て海を目指す。
近い海でその海水を採取する事になる。
「ここでいいですかね」
「ついでに砂鳥の卵も欲しいけど、そう都合よくはいかないわよね」
「流石にそう簡単には…」
「とにかく海水の採取です」
とりあえずは海水を採取しようとする。
だがそんなときどこかから声がする。
「いけません!」
「はい?」
「声がする…どこからですか?」
「海の中からです」
すると海の中から出てきたのはなんと人魚だった。
その人魚に海水の採取を止められてしまう。
「人魚ってマジか」
「なぜ採取してはいけないのですか」
「この海の水は汚れに敏感なんです、手を直接突っ込まれては…」
「それならどうしろっていうのかしら」
人魚はあるものを持ってきてくれれば水を分けてくれるという。
またしても手間が一つ増えてしまった。
「それで何を持ってくればいいのかしら」
「星光のクシと呼ばれるものです、星の光を集めて作るんです」
「どうするべきかしら、一応引き受けるけど作り方が分からないし」
「そもそも星の光ってどうやって集めるんですか」
人魚は魔女が星の光を集める瓶を持っているという。
それで思い当たる事もあり火柄に聞きに戻る事にした。
「とりあえず待っていてもらえます?」
「はい、構いませんよ」
「なんか手間ばかり増えていくわね」
「とにかく火柄に聞きに行くわよ」
そうして火柄の小屋に戻り話を聞く事に。
調査への道のりはどんどん長くなる。
それでもやるしかないので行く事になったのである。