地龍の谷
龍の神の信仰の地を巡るアレイシャ達。
今は地龍の信仰を求め荒野の西にある谷へとやってきていた。
この谷に地龍を祀る祠があるという。
険しいその谷へと足を踏み入れる。
「ここがその地龍の谷なのね」
「土地が土地だけに険しさがありますね」
「とにかく祠を探しに行きましょ」
「ですね、では参りましょう」
そうして谷を進み始めるアレイシャ達。
祠はどこにあるのかとも思いつつ、その谷を進む。
「やっぱり下なのかしら」
「道具ならありますけど、下りてみますか?」
「相変わらずの用意周到っぷりね」
「でもその方がよさそうね、下りてみましょ」
そんなわけで谷の下へと下りてみる事に。
こういうときはヒルデが本当に頼りになるものである。
谷底へと下りたアレイシャ達は探索を再開する。
その谷底には何があるのか。
「それにしてもここは本当に凄い場所ね」
「地龍の信仰がある土地ですからね、それだけ地の力が大きいのでしょう」
「それに飲まれそうな勢いね」
「それが神の力ですよ、土地にもその影響が出るんです」
ゼスフィが言う土地にも影響が出るという事。
それは以前も見たように毒の沼地や豪雪という事なのだろうか。
そんな神の加護を得た土地だからこそ独自の信仰が生まれるのかもしれない。
この世界には大きな宗教がありそれは宗派と呼ばれる。
そして人は欲望のために怪しげな宗教を立ち上げたりもする。
宗教とは人の心の拠り所なのだろう。
「それにしても祠はどこにあるのかしら」
「谷自体も広いですからね、夜になる前には終わらせたいものです」
「夜になったら死ねるわよ」
「噂のゴロツキも流石に谷底では出ないみたいね」
そのまま祠を探して歩いてみる。
しばらく歩いてみたもののやはり谷は広く祠は見つからない。
それでも調べ続けていると小さな洞窟を見つける。
そこかと思いつつ洞窟へと入ってみる事に。
「ここに祠があるのかしら」
「そんなに深くはなさそうよね、進んでみれば分かるでしょ」
「ですね、先に進んでみますよ」
「たぶんここだとは思うんだけど」
奥へと進むとやはりとその祠が顔を見せる。
そのまま祠の調査を開始する。
「洞窟の中だからなのか結構無事なのね」
「ですね、それに比較的最近人が来た形跡も確認出来ます」
「ヒルデって本当に目だけは凄いわよね」
「その目を分けて欲しいわよ」
すると背後から何かの気配を感じる。
背後を振り返るとそこには美しい女性がいた。
「あなた達が私達を調べてるっていう人ね、ふーん」
「あんたもしかして地龍よね」
「地龍は美しい女性なのね、もっと屈強な男性かと思ってたわ」
「悉くイメージと違うのね、龍の神は」
そんな中地龍はアレイシャ達に興味も示す。
やはり神から見ても何かとあるのか。
「それにしても変わった人達ね、いっそ私達につかない?」
「そっちから勧誘するのですね」
「それも面白いとは思ってるわよ、でも今は遠慮しておくわ」
「今はって、その気はあるんですか」
それに地龍も妖しく笑ってみせる。
とはいえアレイシャにもその気はあるというのだから大したものである。
地龍もその肝っ玉っぷりを面白いと思っているようだ。
もう少し話を聞いてみる事にもした。
「ねえ、やっぱりあなた達は上の神に牙を剥くの」
「以前一矢報いるぐらいはしてやるつもりとは聞いていますが」
「そうね、龍の神にも抵抗派と離脱派に分かれてるのはあるかしら」
「つまり神に抵抗する勢力とそれから離脱しようとする勢力ですね」
そんな龍の神にも対立はあるのだそうだ。
とはいえ仲間内で争うつもりはなく双方がそれぞれ動いているだけとか。
抵抗するというのは追放した神達への抵抗であり一矢報いる事。
離脱するというのはその神達の下から離脱し独自に生きようとする事だ。
「それより噂のが来たみたいね、話はあとよ」
「天使様ね、私達も行くわ」
「では外に出ますか」
「天使様ね、何者なのやら」
そうして外へと出る事に。
やはりあの白フードが来ているのだろう。
白フードが何者なのか、それは今は分からない。