地龍の荒野
龍の神の信仰のある土地を巡るアレイシャ達。
ロサニアを飛び立ち少し遠くにあるアマイグにやってきた。
補給で立ち寄った道中で聞いた話では荒野の街に行ってみるといいとの事。
その情報を頼りに荒野の街にやってきていた。
「ここがその荒野の街なのかしら」
「随分と古風な街ですね、古い時代劇のような」
「こんな街が残ってたのね」
「とりあえず情報でも集めますか」
そうして情報を集める事に。
人の姿もまばらなのでとりあえず酒場に行ってみる事にした。
「おや、いらっしゃい、お客さんなんて珍しいね」
「ここは外部の客とかは来ないのかしら」
「ここはこんな辺境だろ、そんな物好きは少ないよ」
「それなのに生活出来てるのも凄いわね」
マスターと客が数人いる酒場。
観光客の姿などもなく旅人が宿場として使っている程度か。
だがその旅人からの収入がこの街を支えているのだろう。
この街の名物のじゃがいもと鶏肉の炒め物は絶品らしい。
「観光客には見えないが何か探しものとかでしょうか」
「地龍の信仰について調べているの」
「荒野の街に行ってみるといいと言われたもので」
「何かご存じないかしら」
その言葉にマスターは少し間を置いて言う。
それを知りたいなら南の東から二軒目の家に行ってみるといいと。
「南の東から二軒目の家?そこになにかあるのね」
「情報を感謝します、とりあえずじゃがいもと鶏肉の炒め物とお酒を」
「お、頼んでくれるのか、腕を振るっちゃうぜ」
「昼間からお酒ねぇ、まあヒルデは強いし平気かしら」
それから少ししてじゃがいもと鶏肉の炒め物とお酒が出てくる。
この国の荒野の地方では定番のバーボンだ。
一応エロイーズ以外は全員成人しているのでお酒は飲める。
仕方ないとセクネスやアナスティアもそれに付き合う事に。
「この炒め物美味しいわね、スパイスの味なのかしら」
「そうですよ、元々アマイグの西部にはそういうものが多いんです」
「アマイグは発展している一方で荒野などは手付かずですからね」
「確か特に西部の方に行くほど荒野も広いんでしたっけ」
そうして少し話も弾みつつ炒め物とお酒を平らげる。
代金を支払いお礼を言った後酒場を出て言われて家に向かう。
「ここがその家かしら」
「すみませーん!」
「返事がないわね」
「誰ですか、こんな時間に」
中から声がした。
出てきたのは眠そうにしている不格好な男。
とりあえず事情を説明してみる。
すると中へ入るように言われる。
「それで用件は地龍の信仰についてですよね」
「ええ、この近くと言うかこの地がそれなのよね」
「少し調べ物をしているんです」
「何かご存知ありませんか」
その男性はどうやら歴史研究家のようだ。
この街に住み着いた外部の人間で、地龍の事を調べているらしい。
「地龍の事ならここから西にある谷に古びた祠のある洞窟がありますよ」
「西にある谷ね、あなたはそれについて調べ終えてるの?」
「机の上にある紙にそれに関係する事が書いてあるけど」
「歴史研究家だしそういうのは調べてるのですよね」
その男性は地龍の事を調べるためにこの街に住む事を決めたらしい。
今ではすっかり街の住人として馴染んでいるとか。
「ええ、まだ分からない事も多いですが、この街には今もその信仰は残っています」
「ふーん、外部の手が入ってないからこそなのかしら」
「なんにしても西の谷ですね、とりあえずは行ってみようと思います」
「情報感謝するわね」
男性はそれはそれとしてこの辺りにはゴロツキも出るので用心するようにと言う。
古くから存在するクレイジーガンズというゴロツキ集団がいるとの事。
荒野を旅する人達に金品を要求するがこの街のように群れには襲いかからない。
勝てそうな相手だけを狙っているそうだ。
「分かりました、ではそれも踏まえて西の谷へ行きますね」
「ありがとう、そいつらに襲われたら返り討ちにするわ」
「あんた達逞しいねぇ、まあ気をつけなよ」
「ええ、感謝します」
そうして家を出て西の谷へと向かう。
ゴロツキに出会うかどうかは分からない。
とりあえずは警戒はしつつ西へと歩き始める。