白龍の村
白龍の信仰を求め信仰があるという村へと飛ぶアレイシャ達。
極寒の空を飛行船はゆっくりと飛ぶ。
そうして飛んでいると言われた通り黒い屋根が見え始める。
そこから少し離れた場所に飛行船を下ろして村へと移動する。
「寒いったらないわね!」
「エロイーズは文句言いすぎよね」
「とはいえこの寒さならそうも言いたくなりますよ」
「口にすると余計に寒くなります」
そうして歩いていると村に到着する。
とはいえこの寒さなので住民はみんな家の中である。
「見事に外には人っ子一人いないわね」
「こんな寒いんだから当然よね」
「とりあえず適当に家を回ってみますか」
「本当に防寒してるのに寒いって、お肌が大変な事になりそう」
とりあえず適当に家を回ってみる事にした。
何軒か回ってみた結果やはり信仰があるというのは確認出来る。
そしてある家でそれについて知っているという人に出会う。
事情を説明して話を聞かせてもらう事に。
「この季節にそれも白龍様の信仰を調べにくるとは変わった人達ですね」
「流石に寒くて参ってるわよ」
「でもこの国は本当に内外で温度差が凄いのね」
「それはそうと白龍の信仰についてお聞きしてもいいですか」
その女性はこの国の寒さも白龍の加護なのだと言う。
白龍は氷の龍でこの寒さや雪は国を守るために起こしていると。
とはいえどこまで本当かは定かではない。
それについて調べたいと切り出すと女性は少し言葉を濁す。
「それは構いませんが…今の季節にそこまで行くのは大変ですよ」
「つまり危険な場所にある、という事ですか?」
「それでも行くから場所を教えてもらえるかしら」
「どうせ危険なんて散々経験してるしね」
すると女性は行くのなら場所は教えてくれるという。
ただその場所には昔から雪男が出るという伝説があるらしい。
村の人間がその場所に向かおうとしたときに巨大な人型の影を吹雪の中に見たらしい。
襲われこそしなかったものの、それが雪男として今でも伝えられているそうな。
「雪男ですか、しかし襲わないのならなんとかなりそうですね」
「話が通じるものなのかしら、その話からして敵意はないっぽいけど」
「村の人達もその雪男は白龍様を守護する存在だと信じているんですよ」
「都合がいいわねぇ、でも村の人を襲わないのなら納得かも」
雪男の話は確かに気になる話だ。
外部の人間であるアレイシャ達にはもしかしたら襲い掛かってくるかもしれない。
村の人間を襲わなかったのは白龍に関係しているからか。
理由はどうであれ雪男に襲われないという保証はないのだ。
「ただ雪男は大きい音が苦手と聞いています」
「大きい音…私の銃で空砲でも撃てばなんとかなるかしら」
「近くに山があるんですが、下手したらその空砲でもっと大惨事ですよ」
「雪山で大きな音を出すと雪崩が起こるって言うものね」
なんにしても流石に危険なのでヒルデに止められる。
それでも行く覚悟はとっくに決まっている。
「それでも行くわ、場所はどこかしら」
「場所は北に行った先にある炭鉱の中です、ただそこは今は季節的に使われていません」
「流石にこの季節に炭鉱で働けとか死ねって言ってるようなもんよね」
「中には入れるのですか?」
女性の話では中には入れるという。
ただ無人の炭鉱はとても冷えるので甘く見ないほうがいいという。
外も寒いのに加え屋内ですら極寒なのがロサニアだ。
人の暮らす民家でもない限り屋内だろうと容赦なく冷え込むのである。
「なんにしても行ってみますね、情報感謝します」
「無理だと感じたら引き返してください、寒さは本当に命を奪いますから」
「ええ、本当に寒さが酷いならね」
「それじゃありがとう、失礼するわ」
そうして家を出て北の方角を確認する。
あとは北に向かって移動するわけだが、手段は徒歩にする事に。
「距離的に徒歩の方がよさそうね」
「視界が悪いのは承知です、はぐれないでくださいよ」
「分かってるから」
「それでは行きましょうか」
北へ向けて歩き出すアレイシャ達。
猛吹雪と寒さが容赦なく襲う極寒の国。
過酷な環境を目的のために進むのである。