極寒の国
龍の神について調べて回るアレイシャ達。
緑龍と別れたあとは白龍の信仰を求め北のロサニアにやってきた。
ロサニアは極寒の国としても知られ、冬は恐ろしく寒いという。
そして今の季節が冬である事が体に染み渡る。
「寒いんだけど!」
「今は冬ですからね、ロサニアは冬は氷点下の底が知れません」
「モフモフの毛皮のコートが霜で凍りそうね」
「流石に冬のロサニアは下手したら命に関わるから気をつけるのよ」
そんな極寒の国に白龍の信仰があるそうだが。
とりあえず情報が得られそうな場所を探す。
「部屋の中はクッソ暑いわね!」
「エロイーズさんが壊れてますよ」
「気候で頭でもやられたんでしょう、放っておけば治ります」
「ヒルデってたまに凄く辛辣よね」
そんなわけでパブにやってきたわけで。
情報屋も兼ねているので何か得られるだろうか。
「白龍の信仰ねぇ、情報料はこんなもんでどうだい」
「いいですよ、では少しサービスです」
「ヒルデって気前がいいわよね」
「貯金してるんじゃなかったのかしら」
とりあえず提示された情報料より二割増しの金額を払う。
パブの主人も少し驚いたがそれについて教えてくれた。
「白龍の信仰なら北東にある村に行ってみるといい、あそこは古い信仰があるからな」
「北東ですか、ロサニアは国土の広さが凄いので距離も教えていただければ」
「北東だけだと曖昧だしね」
「この広い国土で北東って言われても困るもの」
マスターは北東に二日程度の距離だと言う。
飛行船なら半分ぐらいで行けるが、この寒さだと難しいのではとも言う。
だがそこはエイルとヒルデ、寒空の中でも飛べるように抜かりはない。
マスターが言うには黒い屋根の建物が見えたらそこがその村だと言う。
「分かりました、それとウォッカを持ち帰りでいただけませんか」
「メイドの姐さん、あんたウォッカなんか飲むのか?」
「ウォッカってアルコールが凄く強いんじゃ…」
「私でもウォッカなんて飲んだら一口で酔い潰れるわよ」
ヒルデはアレイシャは知っているが、酒には強い。
ウォッカで酔うような軟弱ではないのだろう。
だが流石にウォッカで酔わないとは誰しも思っていなかった。
あのヒルデでもウォッカなら流石に酔うだろうと。
そもそもロサニアは寒すぎるせいで酒を飲んで体を温める事がよくある。
中には飲料用でないアルコールを飲んで死んでしまう人もいるぐらいらしい。
それはロサニアの寒さを象徴する話でもあった。
ヒルデはウォッカのボトルを数本お買い上げていたが、大丈夫なのか。
「では情報は感謝します、それと二割増しの分はポケットにどうぞ」
「お、おう…すまねぇな」
「それじゃ行くわよ」
「お邪魔したわね」
その気前にマスターも少し緊張してしまった。
金を惜しまないのは何かしらの理由があるのかとも思っていたようだ。
「さて、北東ですか」
「この気候でも飛べるようにはしてあるけど、万が一燃料が凍ったらごめんなさいね」
「墜落は勘弁して欲しいわよ」
「でも飛行船って飛んでるときは熱を発するからそんな凍るものなの?」
そこはロサニアの極寒である。
甘く見ていたら本当に凍って墜落する。
エイルも動力の回転を上げて普段より熱を熱くして対策するしかないそうだ。
目的地は北東の村、飛行船なら一日飛べば辿り着ける。
とはいえ今は少し吹雪いているため様子を見る事に。
視界が良好になったときに出発する事になった。
それに入国前に準備に時間を使った影響で時間も少し遅い。
朝になれば吹雪もマシになると考え、出発は朝にする事に。
「今日は時間もあれだし休むわよ」
「ですね、早朝の吹雪が穏やかなときに行きます」
「分かったわ」
「それでは明日の早朝まで自由ですね」
一旦の休息を取る事に。
ロサニアの寒さで夜は危険すぎる。
「それと早朝って言っても早いわよ」
「分かってる、寝坊はしないわ」
「早めに休んだ方がよさそうですね」
「外に出たら死にそうだものね」
そんなわけでさっさと休む事にした。
ロサニアの冬は氷の海が出来る程度には寒い。
白龍の信仰もそんな極寒の地にあるのだろうと思うとしんどいものである。




