暗躍する翼
赤龍のあとを追いかけるアレイシャ達。
彼女が感じ取ったものは何なのか。
それを追い何に出会うのか。
違和感の正体を探るべく赤龍を追いかけていく。
「いたわ」
「他にも誰かいる、あいつ何者かしら」
「気になりますね、行ってみましょう」
「嫌な予感はするけど」
赤龍の方へと走るアレイシャ達。
そこで彼女は白いフードの者と対峙していた。
「あんた、何者だ?」
「私か?貴様らには関係のない者だ」
「それにしても気になるものね、普通この手の場合フードは黒でしょ」
「あら、お約束は覆してこそよ」
その白いフードの女はアレイシャを見て何か言いたげだ。
そしてエロイーズにも何やら視線を向ける。
「ふむ、騎士とシスター、どっちも黒いものを抱えているな」
「それよりあんた何者なの、答えないなら…」
「この場で斬りかかってもいいのよ」
「やめておけ、こいつはあんたらで敵う相手じゃない」
赤龍も相手に対して警戒を強める。
だがそのフードは思わぬ事を口にした。
「エメラダ教、あれは厄介なものだ、私の計画を悉く邪魔をする」
「エメラダ教?まさかあんた俗に言う天使様…かしら」
「以前の旅の道中で出会った異形はあなたがやったの?」
「人間をたぶらかして何が目的なのですか」
フードは言葉を続ける。
エメラダ教は存在自体がこの世界を脅かすと。
そして偽りの神に魅入られた人間を覚醒させるのだと。
だが赤龍はそれに疑問を投げかける。
「確かに今の世界は古き神を忘れつつある、だがそれは人間が選んだ道だろうに」
「道だと?笑わせるな、神は人が人を崇めるそのやり方を良しとはしない」
「だったらあなた達を黙って崇拝していろというの?」
「それこそごめんよね、人間だって自由はあるもの」
フード曰く人間の作る宗教など下劣だという。
金儲けに走り人を狂わせるその宗教に救いなどないと。
「とはいえ大宗派はそうでもないと思いますよ?」
「やれやれ、ならばお前はそれに反論出来るのか?人造魔眼の小娘」
「っ!?確かに私はエメラダ教に育てられたスパイよ、でもだから何かしら」
「人造魔眼な、人間は大層なものを作ったじゃないか」
フードはエメラダ教が何をしているかも知っているようだ。
だからこそエメラダ教は滅ぼさねばならないという。
人の世に闇をもたらすその宗教は必要ないと。
だが赤龍も仮にも神としてそれを認める訳にはいかない。
「そんなの認められないね、それとも神であるアタイとやり合おうってか?」
「馬鹿を言え、神に喧嘩を売るほど私は下劣ではないわ」
「それで、結局何がしたいの?」
「目的が見えないんですが」
フードの目的はこの場で言う必要はないという。
だが自分は人間の作る下劣な宗教を壊す、それだけだと言い放つ。
「そのうちまたどこかで会うだろう、そのときは貴様らを喰らってやる」
「待て!あいつ…結局なんだったのさ、まさかあいつが天使様だっていうのかい」
「恐らくそうよ、天使様で今まで暗躍していた…」
「エメラダ教を敵対視していましたね、おそらく今後も何かありそうです」
とりあえずは一旦集落に戻る事にした。
巫女に合流しそのまま集落へと引き返す。
その道中でフードの言っていたエロイーズの人造魔眼について訊く。
人造魔眼、それは何なのだろうか。
「その眼帯の下ですよね、人造魔眼というのは」
「そうよ、私は適正があったからそれを施されただけ」
「本来魔眼っていうのは先天性なのさ、人の手で作れるものじゃない」
「えっと、つまり人の手で作れないものを作った…ですか?」
人造魔眼、それは瞳に特殊な術を施す事で作るのだという。
眼帯をしているのも力をセーブするためらしい。
とりあえずそれは集落に戻ってからにする。
エメラダ教の闇は思った以上に深そうだ。
「あ、集落が見えました」
「とりあえず話ですね」
「アタイも少し気になるしね」
「火山の事も報告しなきゃ」
そうして集落へと帰還する。
そこで今後の事やエメラダ教の事を考える。
天使様、そして龍の神など問題は山積みである。