魔王の城
ミィアの城で龍の神について調べる事にしたアレイシャ達。
一旦は各自自由として好きに城を見て回る。
ここの場所は他言無用だし教えてもくれない。
だが興味深いものは多数あるようだ。
「あったわ、龍の神に関する文献」
「それにしてもあの者達は意外と慈悲深いんでしょうか」
「かもしれないですね、敵対しなければ向こうも手は出さないと言いましたし」
「ま、調べるだけなら怒られなさそうだしね」
そうして龍の神に関する文献を読み進める。
そこには奴らが神の世界を追放された事なども書かれていた。
「本当に追放されてたのね」
「そうね、そして奴らはその力を弱めようとしてる」
「ですがあの者達よりも上位の存在に敵うものなんでしょうか」
「それは難しいと思うわよ、神様の世界だって実力は差がありそうだし」
なんにしても奴らはそんな神に一矢報いるつもりなのか。
敵対しなければとはいえやはり少し不安になってしまう。
人間を利用している事は否定していなかった。
とはいえ直接的な干渉はしていないと今までからも窺える。
「なんにしても敵対しなければ平気なのよ、ただこの先それもどうなるか」
「いっそ奴らについちゃう?それも面白いと思うし」
「私はそれは…」
「ゼスフィさんはそれは複雑ですよね」
エロイーズもとんでもない事を言い出すものだ。
とはいえそれはそれで面白そうだとアレイシャは思った。
どうするかはそのうち決めるとして今後の予定だ。
一旦元の場所に戻り龍の神縁の地を巡ってみようかと考える。
「とりあえず龍の神の縁の地を巡ってみたいわ、それからよ」
「分かりました、私はアレイシャ様に従います」
「私達もどこへでもお付き合いします」
「私達も特に異論はないわよ」
そうして今後の予定は決まった。
今日は一日この城で休み、明日から本格的に行動開始だ。
本を戻し城の中を適当に見て回る。
そこで優秀な技術者や研究者の失踪騒動の真実も知る。
「それにしてもまさか失踪した優秀な技術者や研究者がここで働いていたとは」
「戦争をしてたときからよね、下手したらもっと前から」
「確か世界各国で優秀な技術者や研究者が突然消えたという」
「そうじゃぞ、そやつらは好待遇で妾が部下としてスカウトした」
いつの間にかミィアが後ろにいた。
それについてもヒルデやエイルは質問をする。
「つまりあなたが世界中の国から優秀な人材を引き抜いたと?」
「そんな事をして何が目的なのよ」
「別に目的などない、ただ有能な部下は多いに限るという事じゃ」
「待遇のよさで買収って事でしょうか?」
ミィアはその者達にここで好きな研究をさせている。
そして待遇も本国よりもはるかに上の待遇を提示しているのだ。
金も必要なものも全部用意してくれる。
そんな好条件に研究者も技術者も乗らないわけがない。
その結果ここで研究などをしてそれを本国で発表する。
国の成果にならずに研究成果だけが世に知られるのである。
「でも設備とか見てもここの待遇よすぎない?全部最新のものじゃない」
「当然じゃろ?研究に必要なものは言われた通り揃えてやっておる」
「そのお金はどこから出ているのやら」
「実は凄い莫大な資産があるとか」
資金の出処はあえて言わないミィア。
とはいえ研究者達にとってはここは楽園なのだ。
「妾の部下として有能な奴はこれからもスカウトしてゆく、それがやり方じゃ」
「国が泣いているわけですね、私が今までに見た国でもそんな感じでした」
「私の国でも天才って呼ばれる技術者が失踪したものね」
「人間を支配しないとか言いつつそういう事はするのね」
とりあえずミィアに訊きたい事はまだまだある。
戻る前に聞けるだけ聞いておこうとヒルデ達は思っていた。
ミィアも話せる範囲なら話してくれるらしい。
魔王恐るべしである。
「ここではなんじゃ、場所を変えるか」
「それもそうですね」
「私も訊きたい事はあるし」
「あの二人もなんだかんだで興味津々ね」
そうしてヒルデとエイルはその話を聞いていた。
ミィアは別に人間に敵対するつもりはないのだ。
それでも人を集めるのは人類のためなのだろうか?