龍への探求
遺跡からなんとか無事に帰還し帝都に戻ったアレイシャ達。
とはいえ相手はこちらが手を出さなければ何もしないと誓ってくれた。
だが龍の神の事はやはり気になるもの。
そして天使様についても謎が深まっていた。
「とりあえずどうするの?龍の神の事を調べるの?」
「それがいいとは思いますよ、天使様の事も気になりますし」
「それより話をきちんとしてもらえるかしら」
「そうね、それはしておくべきかしら」
そうしてセクネスとアナスティアに今までの経緯を説明する。
当然エロイーズの素性も説明する。
「スパイって、それなのに同行させていたんですか」
「一応そうなってるけど、今はほぼ独断で動いてるから気にしないで」
「そうは言われてもね」
「問題ありませんよ、仮に本気で裏切るのなら私が頭をアップルにしますから」
ヒルデもおっかない事を言うが、それはアレイシャを思ってなのだろう。
監視は一応しているのでよほどでもない限り下手な動きは出来ないと本人も認める。
「ってわけよ、少なくとも下手な真似したら私がやばいし」
「ならいいんですけど…」
「それよりこれからどうするの?やっぱり調べるの?」
「そのつもりよ、龍の神の事もあるけど天使様の事も気になるもの」
とりあえずはそれで一応意見は一致する。
それはそれとしてもどこで情報を得ればいいのか。
そんな中アレイシャが一つ思い浮かぶ。
それはあの場所、とはいえ仲間達を連れていっていいものなのかも悩む。
だがあそこならあるはずだとアレイシャは考える。
その迷いは振り切りその場所へ向かう事にした。
「ある場所に今から行くわ、行きましょう」
「ある場所ってどこなのよ」
「さあ?一応ついていきますか」
「ですね、そうしてみましょう」
宿を出て人気のない路地に移動する。
そこでアレイシャは転送の呪文を唱える。
「ここどこよ?ってかさっきの呪文なんなの?」
「なんか不気味な…」
「とりあえずついてきて」
「ここは人の世界なのでしょうか、それとも…」
そのままミィアの下に連れていく。
叱られそうな事は覚悟の上だ。
「ほう、まさか仲間達を連れてくるとは雷でも落とされる気になったか」
「なによこの偉そうなクソガキは」
「それで、あなたは何者ですか?」
「アレイシャの知り合いよね」
ミィアも軽く自己紹介をする。
アレイシャも一応用件を伝える。
「魔王?あなたがですか?何かの冗談…」
「冗談ではないぞ、妾は確かに魔王じゃ」
「お子様の遊びにしては面白いじゃないのよ」
「エロイーズはもう少し口を慎みなさい」
ゼスフィもそれについては信じられない様子だった。
彼女からは生命の力が感じられない。
死神であるゼスフィは生命の力にはとても敏感だ。
それを全く感じさせない彼女は何者か、魔王と名乗る死者なのか?とも。
「それはそうと龍の神の事じゃろ、それに関係する文献なら書庫にあるぞ」
「分かったわ、書庫で調べさせてもらうわね」
「本当に尊大なクソガキね、あんた」
「エロイーズ!」
とりあえずは書庫に入る許可はもらった。
だがゼスフィはどうしても気になり、それを尋ねてみる。
「妾か?妾は人間でも死者でもない、機械人形じゃ」
「は?つまりそれは昔から生きているというより…」
「でもそれだと整備とか必要よね」
「たぶんあれよね、技術者がいるんでしょ」
それについてもあとで城の中を好きに見て回れとだけ言う。
何もかもが驚きの連続でしかなかった。
あとここはどこなのかと訊く。
この城のある場所はどこなのかと。
「この城のある場所か?そうじゃな、世界の果てでは駄目か?」
「誤魔化す気?」
「世界の果て、そう呼ばれる土地があるとは聞いた事はありますが」
「秘密なのよね、そればかりは」
とりあえずミィアに城の施設を使う許可はもらった。
少しここに滞在して龍の神の事も調べる事に。
「あとお主はあとで少し来い」
「私?ええ、いいけど」
「では適当に見学させていただきますね」
「興味深いものね」
そうしてしばらくの間この城を拠点にする事に。
龍の神と天使様の事を調べるのだ。
他の仲間達も興味はあるようである。