情熱的な民
イハレア国内の旅を開始したアレイシャ達。
とりあえず隣の小国であるパンテに来ていた。
この国は国民も情熱的な感じは受け取れる。
そして何より食べ物が美味しいようである。
「んー、この国はいい国じゃない」
「今までの国は歴史を大切にしてる国だったものね」
「イハレアは文化を守りつつも外国からの受け入れにも積極的ですから」
「そうね、そして何より美味しいご飯にありつけるもの」
今までの食事が美味しくなかったかのような物言いである。
とはいえ確かにイハレアの食事は美味しいのは認めていた。
「この国は国民もどこか適当なんですよ、細かい事は気にしない性分なんです」
「なんか凄いわねぇ」
「でも分かる気がするわ、なんか軽いわよね」
「アナスティアは散々声をかけられてますからね」
この国の男性はどうにも簡単に声をかけてくるようだ。
とはいえアナスティアもそんなガードは意外と堅いのだが。
「そういえばある国のジョークで世界最弱の軍隊はイハレア人だと言われますね」
「どういう意味よそれ」
「過去に戦争があったときのイハレア人の手口よね、それ」
「よく分からないけどつまりどういう事?」
ヒルデ曰くイハレア人は立ち回りが上手いという。
それにより危機回避能力だけは異様に高いそうだ。
エイルが言うには過去の戦争でそれを遺憾なく発揮していたという。
その結果ヒルデの言うある国のジョークで世界最弱の軍隊とすら言われるとか。
「よく分かんないけどジョークでしょ、それ」
「はい、ジョークです」
「なら本気にしても仕方ないわね」
「とはいえ言い得て妙なジョークですね、それ」
ヒルデがなんでそんなジョークを知っているのかはともかくとして。
イハレア人の国民性がなんとなく分かるジョークだった。
ヒルデも皮肉を言う事もたまにある。
元傭兵という事もあってなのか世界の知識を知っているのも納得な気がした。
エイルは元軍人なのでそういう教育は受けているのだろう。
アレイシャやセクネスも教育は受けたとはいえ知らない事も多いようだ。
「とはいえイハレア人というのは表向きは軽いですが実際は賢いのですよ」
「立ち回りだけは異様に上手いんだから困るのよね」
「賢いというよりずる賢いという感じですね、それ」
「なんか国民性って大切よね」
ヒルデ曰くイハレアとコレアムを味方につけた軍は負けるのが定石らしい。
過去の戦争でイハレアとコレアムを味方につけた国は決まって負けているそうな。
理由は異なるらしいが、この二つの国は死神のような扱いなのだという。
この二つの国を当てにしたらそれは負けフラグなのだそうだ。
「なんかおっかない話ね、仲間にしたら負けるってなによそれ」
「だからこの二つの国は戦いにおいて味方にしてはいけないのですよ」
「それは私も歴史の勉強で習ったわね、味方にしたら全敗だって」
「まさに死神ですね、凄い話です」
セクネスもその話には驚いていた。
仲間にしたら負ける国というのはとんでもないジンクスである。
だが実際に負けを繰り返しているのだ。
ジンクスも満更でもないのだろう。
「まあ戦いにおいては死神でも国としてはいい国なので心配はいりませんね」
「そうね、それは私も保証するわよ」
「エイルとヒルデが言うなら安心よね」
「そうだと信じたいものよね」
なんにしてもイハレアという国について少し分かった気がした。
それは仲間にしたら負けるジョーカーという事なのか。
ジョーカーの役割については何かとある。
とはいえまさにそれは国民性なのか。
「この国って本当に何かと凄いって分かったわ」
「イハレア人の恐ろしさを知った気がしますね、恐るべしです」
「美味い話には裏があるという事のいい実例ですね」
「ヒルデの言う通りね、美味い話に乗っかったら駄目よ」
そうしてこの国の事を少し知ったような気がしたアレイシャ達。
次の小国へ向けて再び飛行船の舵を取る。
イハレアという国はとてもずる賢い国であり、カラスのような国なのだと理解したのだった。