海を越えて
エルベリア国内を旅するアレイシャ達。
教会の一件はとりあえず国に捜査してもらう事で落ち着く。
そして一行は首都を発ち海を越えて隣国のイハレアへと旅立つ。
飛行船は海の上空を越えてイハレアへと入国するのである。
「うーん、長い空の旅になりそうね」
「燃料は買い込んであるから墜ちる心配はないわよ」
「次の国はイハレア、どんな国なのかしら」
「情熱の国と呼ばれる国ですよ、国民もそんな感じです」
イハレアという国は国民が情熱的なのか。
それも気になりつつ飛行船は海の上を飛ぶ。
「にしても真下が海だと墜ちたときが怖いわね」
「プロの操縦士を信じなさい」
「まあエイルさんなら大丈夫だとは思いますよ」
「流石にそんなヘマはしないわよね」
そうして海の上を飛ぶ事数時間、対岸の国イハレアの地が見えてきた。
とりあえず一番近い小国のラッフェに着陸する。
そこは太陽の日差しも眩しい海岸沿いの都市。
国民達は飛行船での入国に興味があるのか集まってきた。
「ここがイハレアなのね」
「そうよ、エルベリアからは一番近い小国のラッフェね」
「なんか人が集まってるわよ」
「飛行船での入国ですからね、物珍しいのでしょう」
とりあえずそんな人達に手を振る。
そのあとはこの国についてまずはこのラッフェで調べてみる事に。
まずは観光協会や店などで情報を集める。
地図を確認した結果進路は北に進む事になった。
「とりあえず北に向かうわけね」
「ええ、まずは首都のラーナを目指してそこでさらに北上ね」
「海を越えた時間もあるので今日はここで宿を取ります、出発は明日ですよ」
「了解です、では少し散策してみますか」
そうして街の散策を開始する。
女性だけのメンツという事もあり男性からよく声をかけられる。
とはいえそれを軽くあしらい街の散策を続ける。
この国ではオレンジやパスタなどをよく見かける。
ヒルデの言っていたようにこの国の文化でもあるピザやパスタ。
そして名産でもあるオレンジやトマトなどが店に並ぶ。
「この国のオレンジ美味しいわね」
「トマトも生でかじっても美味しいですね」
「レストランはピザやパスタ関係のお店が多いですね」
「それがこの国の文化だものね、せっかくだし食べてみる?」
エイルの食欲を知っているとあれだが、とりあえず食べてみる事に。
適当な店に入りピザを注文する。
やはりシンプルにマルゲリータがいいとヒルデは言う。
この国は他にもチーズなども名物らしく、ピザのチーズもそれだけで美味しいとか。
店で本場のピザを堪能してその味を噛みしめる。
エイルの食べる量には店もやはり驚いていたが。
「美味しかったわね」
「エイルは少しは手加減しなさいよ」
「店の人が驚いていましたね、今さらですが」
「あれでも抑えてるんですから恐ろしいものですよ」
そんなこの国では美味しいものにありつけそうだ。
そして店を見て回るとチーズの店を見つける。
ヒルデ曰くチーズとパスタはとても種類が多いのだという。
パスタというのは小麦粉の乾燥製品の総称らしい。
つまりスパゲッティもペンネもマカロニもそういったもの全てがパスタなのだ。
チーズもその種類だけでとても多く、この国でしか見れないようなものもあるらしい。
「ヒルデって本当に謎の知識があるわよね」
「メイドなんだし食の知識はあってもいいんじゃない?」
「そうね、だから美味しいものに出会うためにも頼むわよ」
「分かっていますよ、最高のグルメ旅にしてあげましょう」
ヒルデもノリノリである。
やはりそういうところはヒルデらしさなのだとアレイシャは思っていた。
移動時間もあってか日が落ち始める。
夜は少し贅沢をする事になった。
「パスタもいいし美味しいものはありそうね」
「この国は美味しいものもたくさんあるわよ」
「なら期待してしまいますね」
「今夜は食べるわよ」
そうしてイハレア初日の夜は過ぎていく。
ワインも美味しいこの国なので、ヒルデがその夜瓶をたくさん空けていた。
だがこの国で思わぬニュースを聞く事になるとは今は知らない。