表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/230

ヒルデを知る者

エルベリア国内を旅するアレイシャ達。

現在は首都を目指して北上している。

そんな今は小国の一つスタツァに来ている。

ここで思わぬ出会いをする事になる。


「相変わらず日差しが強いわね」

「今は季節が季節ですからね」

「焼けてもいいんじゃない?小麦色の肌とかあたしは好きよ」

「小麦色の肌って、懐かしいワードを…」


そんな日照りの中街を散策する。

適当に食べ物などを買い食べ歩いていると若い青年に声をかけられる。


「あの、あなたはもしかしてヒルデ殿ではありませんか?」

「誰よあんた」

「知り合いかしら、ヒルデの」

「この国に知り合いなんていたのね」


その青年は見た感じ20ぐらいか。

ヒルデを知っているようだが。


「…私は存じませんが」

「そんな事はありません、僕は覚えています、あなたに救われたときの事も」

「救われた?何をしたのかしら」

「さあ…ですがヒルデさんは知らないと」


その青年はヒルデの顔を忘れるはずがないという。

過去に救われたと言うがなんの事なのか。


ヒルデは冷たく彼を突き放すが、彼も食い下がる。

何か知られたくない事でもあるのか。


「このヘンケルがあなたを忘れるはずありません、あなたは間違いなく僕の恩人の…」

「ヘンケル、そういえば名前を訊かなかったので知らなくて当然ですよ」

「名前を訊かなかったって」

「それであんたヒルデの何を知ってるのかしら」


ヘンケルという青年。

彼はヒルデに救われた恩があるという。


それはヒルデの過去に関係しているのか。

ヒルデも口ごもり言いにくそうにしている。


「忘れるはずがない、あの伝説の傭兵のヒルデ殿の顔も名前も」

「伝説の傭兵?どういう事なの?」

「戦い慣れてると思ったのはそういう事か、やたら勘が鋭いのも納得だわ」

「でもつまりそれは過去に戦場で生きてたって事になるわよね?」


ヒルデもその事については言いにくそうにしている。

ヘンケルは今のヒルデを見て何を思うのか。


「私は傭兵は引退した身です、あなたの尊敬するヒルデは死んだのですよ」

「それでも、僕の中であなたは尊敬する戦士なんです」

「なんか大変ね、でもそんな冷たくしなくてもいいんじゃない?」

「そうですよ、せっかく恩人だと言ってくれているのに」


ヒルデも複雑な何かがあるのだろう。

ヘンケルはもっと話したいと言いつつも仕事があるのでと行ってしまった。


そのあとエロイーズの茶々が始まる。

こういう事には積極的なのもエロイーズの悪い癖である。


「それで、ヒルデ?あんたなんで伝説なんて言われてたのに引退したのかしら」

「今話さないといけない事ですか?それは」

「嫌なら無理にとは言わないけど」

「それでも興味はあるんだもの」


ヒルデはその証拠を見せると言い手袋を取ってみせる。

そこにあったのは石になった右手だった。


「何よ…その手…」

「これが引退した理由ですよ、手袋は特注品で動かない手を動かす役割があります」

「石化って事は魔物か何かかしら、でもそれなら魔法薬で治せるはずよね」

「つまり魔物じゃないわね、もっと明らかに大きな力を受けたのよ」


そうしてアレイシャに頼みその右手に手袋をはめてもらう。

とはいえ秘密は眼帯ではなく手の方だという事の方が衝撃である。


ヒルデの右手を石にした相手。

それは恐らく魔物などという生易しい相手ではないという事だけは分かる。


アレイシャやエイルも魔物の石化なら魔法薬で治せると知っている。

放置しているわけではなさそうなため、もっと大きい相手か。


「なんにしても詮索は無用ですよ」

「ええ、でも話してくれる気になったら私にはせめて話して」

「ご主人様を泣かせないのよ」

「とはいえ相手が気になるわね…一体何者がそんな事を…」


気になるものは気になる。

それでも今はその詮索はしない事にした。


「さて、では次の小国に向かいますよ」

「ええ、分かったわ」

「それじゃ飛行船に戻りましょう」

「一体何者が…まあいいか」


そうして次の小国へと飛び立つ。

とはいえヒルデの過去もそうだが相手も気になってしまう。


このメンバー自体複雑な何かがあるのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ