海での息抜き
エルベリア国内を旅するアレイシャ達。
ようやく海に面した小国ブオナに到着した。
今日は一日この小国でバカンスである。
青い海は静かに波打っていた。
「いい天気ね」
「ですね、絶好のバカンス日和です」
「んー、この天気なら海も安定してそうね」
「それじゃ着替えて海に行きましょう」
そうして各自水着に着替え海へと移動する。
その海は日差しを受け青く輝いていた。
「そんじゃ各自好きにするって事でいいの?」
「ええ、ただし遠くには行かないように」
「分かってるわよ」
「では適当に」
そうして各自好きにする事になった。
海の危険は理解しつつもその美しさには魅入るものがある。
「にしてもアナスティア、あんた…」
「ん?何かしら」
「よく育ってますよね、本当に」
どうやらアナスティアの胸の話らしい。
確かにそのバストは豊満であった。
「そうねぇ、でも大きいと苦労も何かとあるのよ?」
「そういうもんなの?」
「確かに肩凝りが酷いとか服のサイズがとか漏らしてますよね」
実際アナスティアがラフな格好を好むのは服のサイズの問題らしい。
その関係もあってか普段から肌色多めである。
「だから普通の服を着るよりラフな格好してる方が服選びも楽なのよ」
「それに引き換えセクネスは見事に…」
「別にいいでしょう、騎士をやっている以上邪魔になりますからね」
そういうところは職業による意識の差なのか。
セクネスはぺたんこでも気にしてはいない様子。
「エロイーズは見事に私達の中間ですよね」
「そうね、でも小柄なのもあるしいいんじゃない?」
「うーん、まあ大きいと困るし小さくても困るものね」
スパイという職業柄なのか体型にはある程度気を使っているのか。
エロイーズも適度にいい体をしている。
セクネスは騎士らしく引き締まっているし、アナスティアは見事なグラマーだ。
そんな体型の話もしつつ海を満喫する。
一方のアレイシャは海に浮いていた。
生きる屍という事もあってか水には浮くらしい。
「いい空ね」
「アレイシャ様ははしゃいだりはしないのですね」
「そんな歳でもないからかしら」
ヒルデとエイルもそんな海で空を見ていた。
三人ともはしゃいだりする性分でもないのだろう。
「それにしてもゼスフィさんはどこへ?」
「なんか向こうの浜で横になってるわよ」
「彼女も不思議な存在よね、悪い人ではなさそうだけど」
死神と本人は言うゼスフィ。
今のところ特に問題もなさそうなので共に旅を続けている。
とはいえ彼女に助けられているのも事実だ。
主に任務関係では助けられている。
「でもなんか旅も長くなったわよね」
「ですね、とはいえ国の数で言うなら全然ですよ」
「世界にはもっとたくさんの国があるものね」
国の数から考えたら旅は全然序の口である。
エイルもヒルデもそんな国をもっと巡っていろいろと見るといいとは言ってくれる。
バルディスタ皇帝の言った言葉。
世界を見て世界を憎め、その力は人を救う原動力になる。
確かに今まで見た国も綺麗な国だけではなかった。
だからこそ受けた影響も様々なのだ。
アレイシャはそんな国を見て何を感じたのか。
それは本人にしか分からないのだろう。
「でもこうやって息抜きしてるのもいいものよね」
「ですね、たまには休まないと擦り切れてしまいますよ」
「それにしてもヒルデっていい肉体してるわよね、私より腹筋割れてるし」
エイルの言うヒルデの肉体。
確かにアレイシャから見てもその肉体の鍛えられ方は素晴らしいと分かる。
「アレイシャ様をいつでも守れるように鍛錬は欠かせませんからね」
「一応自分の身ぐらいは守れるんだけど」
「だからってその筋肉は凄いわ」
元軍人のエイルすら感心するヒルデの肉体。
その鍛えられた鋼の肢体にはヒルデの過去に関係する何かがあるのか。
「まあなんにしても今日は楽しみましょ」
「そうね、はしゃぐような歳でもないけれど」
「空を見上げるだけでも癒やされますよ」
そうして各自バカンスを楽しんでいる様子。
とはいえ全員はしゃいだりしていないのは歳なのかなんなのか。
そうして海での休息の時間は過ぎていくのだった。