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文化解禁

エルベリア国内を旅するアレイシャ達。

現在は小国の一つハクシェに来ている。

この国における歴史、それは文化解禁が近年の歴史。

他国の文化を受け入れるという事への話でもあった。


「この国って文化が解禁されたの近年なのよね」

「そうですよ、世界では国によっては他国の文化的鎖国をしている国もあります」

「つまり他国の音楽とかそういう文化を遮断しているって事ね」

「でもなぜそういう事をするのかしら」


文化的な鎖国をする理由。

それは理由は様々だが、主に自国の文化を守るというのも大きいだろう。


「文化的侵略なんて言葉もありますからね」

「つまり他国の文化に自国の文化が破壊される的な?」

「そういう事ね、ただ全ての国とは限らないケースもあるわ」

「特定の国の文化を遮断する、という事ですか?」


特定の国の文化のみを遮断する。

それはその国を敵国としていたりしている場合に見られる。


だが国が敵国と認定していてもその国に憧れる民は必ず生まれる。

敵国を憎むのは若い世代が特に顕著で、年寄りはそうでもないのだとか。


なぜそうなのかと言えば、それは政府の歴史を見ているからなのかもしれない。

要するに教育による洗脳という言葉でも片づく話である。


「要するにその国が敵国だったりしたら、って事でいいの?」

「はい、そして敵国への憎悪は若い世代ほど強いものですからね」

「なんでなの?」

「簡単よ、老人はその国の歴史を見ているんだもの」


国の歴史を見ている。

それは突然始まったその国への反抗的な政策が始まった理由も知っている。


つまり昔は敵国だなどとしていなかった時代を知っていたりもする。

国はなぜ突然変わったのか、それをリアルタイムで見た世代などという事にもなる。


「なので敵国を憎むというのは歴史を知らない若い世代に顕著、という事です」

「だからこそ老人は国が変わったのをリアルタイムで見た、という事ね」

「文化解禁っていうのは国としても苦渋の決断なのかもしれないわね」

「そりゃ敵国の文化なんてそんな簡単に受け入れられないわよね」


アナスティアの言う事も尤もだろう。

憎い国のものを受け入れるなど許せないかもしれない。


だが国民が全て敵国を憎んでいるわけではない。

その国に憧れ行ってみたいと願う民は必ずいる。


洗脳教育で国民を統制する事は難しいという実話なのだろう。

人は未知なるものに憧れを抱く生き物だからこそである。


「ですが若い世代でもそんな敵国の文化に触れたいと願う人は少なからずいるのです」

「それで国を出る人も当然出るという事になりますね」

「そうね、だから敵国だと教育で訴えかけても全員をコントロールは出来ないのよ」

「文化的な鎖国って国の内情も分かる話なのね」


結局それを知る手段などいくらでもあるのだ。

そしてそれを知ったとき洗脳に疑問を抱くようになる。


目を覚ますのはそんな情報であり憧れの心なのだ。

そんな国民を操るために情報統制を国がする、それは世の常である。


「結局のとこ文化解禁って洗脳教育の否定って事なの?」

「まあそうなるでしょうね、ただ国民からしたら待ってましたというところかと」

「そう考えると複雑な話ですよね」

「そうね、文化の解禁が国民を沸き立てるなんて」


国は国民をコントロールするもの。

そういう国が世の中にはあるのである。


だからこそ本当に国に必要なものは何かという事にもなる。

敵国に憧れる、それに限らず悪の政治家に憧れる国民も必ずいるのだ。


カリスマ的な悪に人は惹かれるものである。

人を惹きつけるカリスマ性に善悪など存在しないのである。


ヒルデは言う、人を惹きつけるのは強いカリスマなのだと。

国の指導者が例え極悪人でも強いカリスマを持てば人はついてくるのだそうだ。


「さて、そろそろ次の小国に向かいましょ」

「分かったわ、まずは海を目指すから首都はそっちからね」

「了解よ、ならまずは海ね」

「では次の小国に飛ぶとしましょう」


こうしてヒルデやエイルの言う国の在り方。

それは国民の求めるものと国の求めるものの違い。


未知のものに憧れるのは人としての性なのである。

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