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多様性とは

ミクダニア国内を旅するアレイシャ達。

現在は小国の一つセリィマに来ている。

首都までもう少しの距離。

首都に備えて何かと準備を始める頃合いである。


「それにしても今までも見たけど、この国って多様性よね」

「そうね、多民族国家だからこその話よ」

「だからこそこの国には手本にすべきものが何かとあるのよね」

「ですが反面教師にすべきものもありますね」


多様性という意味ではこの国に見習うものは多いだろう。

それが必ずしも正しいとは言わないが。


「なんにしてもこの国は歴史上の事もあってた多様性を理解していますよね」

「ええ、あたしはそれは素敵だと思うわよ」

「多様性、でもそれを履き違えてる人も世の中には多いわよね」

「全くよね、そういうのを自己中って言うんでしょ」


エロイーズも辛辣なものだがあながち間違いでもない。

世の中には言葉の意味を履き違える人間は必ずいるのだ。


結局のところ大きい声で言い続けた人間が勝つものである。

嘘だろうとも大声で言い続ければ人はそれを信じてしまう。


そうして間違った道に人は進んでしまうのだ。

言葉の意味を履き違えた大きな声に人は意外と簡単に騙されるものである。


「ま、人間なんて案外ちょろいものよね」

「エロイーズさんはそういう事には辛辣ですよね」

「でも意外と間違ってないのが悲しいのよね」

「ですね、人は意外と簡単に騙されるんですよ」


セクネスとアナスティアもそれは分かっている。

人は信じられそうな方の言葉を信じるものなのだという事も。


孤児の言葉と貴族の言葉なら貴族の言葉を信じるだろう。

人とはそういうものなのだ。


結局は身分や外見で人を信じてしまうのも人の悲しさ。

そうして世の中の罪は作られるのだろうと。


「多様性とは言いますが実際は難しいものなんですよね」

「同意ね、貧民と貴族のどっちを信じるかっていう事よ」

「信じられる方を信じる、正しい事を言いそうな方を信じるのですよ」

「悲しいものよね、正しい事を言っても信じてもらえないって」


とはいえそれは自業自得な側面もあるとヒルデは言う。

結局は普段の行いが大切らしい。


「嘘つきが突然本当の事を言ったところで信じてなどもらえませんからね」

「結局はそれが狼少年の理論よね」

「その結果村が滅ぼされたというあれですか」

「でも嘘つきは信用されない、その結果本当の事を言っても信じてもらえないのよ」


嘘つきは信用されない。

狼少年の話はそういう事である。


常態的な嘘つきはどうせ嘘だろうと思われる。

その結果本当の事を言っても信じてもらえずに襲われてしまう。


だから信用というのは大切だという事でもある。

普段から嘘ばかり言う人間など信じてもらえはしないのだ。


「なんにしても多様性という言葉は詐欺にも使われるものですよ」

「それも間違った意味だったり履き違えてたりね」

「人って悲しいものよね」

「だけどそうやって嘘つきは生まれるんでしょ」


なんにしてもこの国の多様性は本物だと感じ取る。

外国で詐欺師が言うような多様性ではなく。


「そういえば首都までもう少しよね」

「ええ、次の小国を抜ければ首都よ」

「ならいろいろと話も聞いておかないとね」

「首都についての情報は欲しいですからね」


首都までもう少しである。

今回の指令はバンギ農園の焼き討ち。


その農園で作られる非人道的なものとはなんなのか。

それも気になる話である。


「とりあえず首都に着いたら数日滞在かしら」

「そうなるわね、何してもいいわよ」

「今までの国もそうだけど首都はいろいろと揃ってるものね」

「補給には欠かせませんからね」


そうして次の小国へと向かう事に。

首都前の小国で首都についても訊く。


バンギ農園に何があるのかは今でも気になる。

とりあえずは任務をこなすのみではあるが。


「それじゃ次の小国に行くわよ」

「了解よ、宿もそこでね」

「首都で何をしようかしら」

「アナスティアは楽しそうでいいですね」


そうして次の小国へ向けて飛び立つ。

首都の農園で何が待つのか。


そして今回も天使様の名は出るのかという事が気になっていた。

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