ワインを見て
ミクダニア国内を旅するアレイシャ達。
現在は小国の一つリィゴスに来ている。
この国の産業などを見つつこの国の事を知っていく一行。
そんな中やはり気になるものはあるようで。
「この国のワインって美味しいの?」
「ワイン?そうね、本場には劣るかもしれないけど意外と美味しいわよ」
「お酒ですか、私はどうにも…」
「セクネスはお酒にはそんな強くないのよね」
街を見て歩く中で目に留まるワイン。
それを見て飲みたいという衝動に駆られたりもしている。
「飲むのはいいけど、昼間からお酒は…」
「あたしは飲んでもいいわよ」
「私はワイン程度では足りないのですが」
「ヒルデは強いお酒じゃないと足りないでしょ」
そんなわけで適当に買って飲んでみる事に。
とはいえ外でワインを飲むのもあれなので、適当な店を借りる事に。
店の許可ももらいとりあえずワインの試飲である。
ミクダニアワインの味はどうなのか。
「うん、少し酸味があるけどそれぐらいが私は好きよ」
「ワインはどうにも好きではないんですよね、アルコールが弱いというか」
「ヒルデはウォッカでも飲みたいのかしら」
「ま、まあそういう事もね」
アナスティアはお酒はイケるクチである。
以前も教会で祝い事の席で結構飲んでいたとセクネスは言う。
ちなみにエイルは飛行船の操縦があるため飲めない。
飲酒状態で空の移動なんてされたら下手したら死ぬので。
「お酒は好きなんですけどね、まあ流石に飲用以外のお酒を飲むほどではないですが」
「そんなもん飲んだら死ぬわ」
「ヒルデって宿を取った日の食事でお酒をよく飲んでるわよね」
「それも酔わないギリギリのところで限界まで飲むし」
ヒルデはアレイシャも知っているのだがお酒には強いのだ。
そのため多少強いお酒なら酔うどころかピンピンしているタフネスである。
「ちなみにアルコールは過剰に摂ると寿命を縮めますが、少量なら寿命を伸ばしますよ」
「マジ?アルコールにそんな力があるの?」
「それは私も聞いた事があるわ、薬も多量なら毒になり毒も少量なら薬になるっていう」
「面白い言葉ですね、それが本当なら少しの摂取で寿命を伸ばせると」
ヒルデは本当に変な知識だけはストックが多いようだ。
その知識は本当にどこから仕入れているのだろうか。
そうしているうちにワインを全部空けてしまった。
アナスティアはとりあえず平気そうである。
とはいえ少しだけ酔っているので冷たい水でも飲ませる事に。
アナスティアはお酒には強い方だが、飲み過ぎる事が結構あるらしい。
セクネスもそれを知っててか介抱の仕方は自然と覚えたという。
この二人はやはりどこかデコボコな関係である。
「はぁ~、美味しかった」
「アナスティアって本当にセクネスとは正反対よね」
「そうね、なんか付き合ってこれてるのが不思議な感じ」
「教会に入って自由に使えるお金が増えたからでしょうね」
元孤児の二人はお金の大切さは理解している。
アナスティアもこう見えて財布の紐は固い方である。
とはいえ自分へのご褒美に少したくさんのお金を使う事はあるようだ。
それぐらいならセクネスも許してくれると知っているからである。
「アナスティアは普段は節約してるのに自分へのご褒美をたまに買いますからね」
「でもそれっていい事だと私は思うわよ、自分へのご褒美はモチベーションになるもの」
「同意ですね、一人で料理屋に入るなどの自分へのご褒美は大切ですよ」
「自分へのご褒美、モチベーションか」
セクネスとアナスティアもそんなお金の使い方をしているらしい。
だがそれがやる気に繋がるのならどんどん使っていいとヒルデは言う。
「さて、アナスティアも回復しましたし次の小国を目指しますか」
「そうだ、せっかくだしエルベリアの次は海を越えてみない?」
「あら、いいわね」
「ではルートは決まりですか、計画の手間が省けました」
そうして今後の行き先もついでに決まった。
そのまま次の小国へ向けて飛び立つ。
首都までもう少し、農園の焼き討ちの任務をきちんとこなすべく気を引き締める。