多民族の国
ミクダニア国内を旅するアレイシャ達。
現在は小国の一つアイレヴァに来ている。
ミクダニアという多民族国家は今までよりも新鮮に映る。
そんなこの国で何を見るのか。
「この国ってそこそこ涼しかったりする?」
「西にあるエルベリアが海に面した国なのよ、その関係かしらね」
「なるほど、海風という事ね」
「まあそこから風が届くほどの距離でもないですけどね」
西にあるエルベリアは海に面した国。
そんな関係なのか今までよりは涼しい国のようだ。
「にしてもこの国って多民族国家なのよね」
「ええ、ミクダニア人とエルベリア人が全体の八割ですが」
「他にも少数の民族も含めると六から七ぐらいの多民族になるわね」
「そんなにあるのね、なんか凄いわ」
ミクダニアの歴史上そうなった経緯がある。
実際隣国の人間が何かとこの国でやっている事も多いという。
トネオやグルシュなどの人間もこの国で様々やっているらしい。
やはり近い国は商売などもしやすいという事か。
「この世界自体は王制の国家が今でも大半です、変わるのは先になるかと」
「一部の国では大統領制が取り入れられてたりするけどね」
「どっちも国のトップなのに似て非なるものですか」
「世界って広いのね、勉強はしてるつもりなのに」
勉強で知れる事には限界もある。
だからこそ本物を見て知る事も大切なのだろう。
本に書いてある世界が世界ではないのだ。
世の中は本で知る事の出来ない事がたくさんあるのだから。
「にしても食べ物とかそれなりに豊富なのね」
「この国は世界で見たら豊かな方ですよ」
「そうね、隣国との付き合いとか文化の取り入れとか積極的だもの」
「政治家がやり手だという事ですか」
それにしてもヒルデもエイルも何かと詳しいものだ。
この二人は今では欠かせない知識の源である。
どこでそういう知識を得ているのかはともかくとしても。
知識があるという事は非常に心強いものなのだから。
「ミクダニアは国土はそこまで広くないものの、多文化ですからね」
「この国は主にミクダニアとエルベリアの文化で成り立ってるのよね」
「何かとあるのね、歴史の勉強って大切だわ」
「アナスティアは勉強はしてるのになぜかこんな性格ですからね」
アナスティアのどこか軽い性格。
その割に意外と誠実だったりする。
つまり男に免疫がないとかそういう事なのか。
それについて触れてみる。
「セクネスとアナスティアって意外と男の人に免疫がないのよね?」
「うぐっ、まあ触れた事はありますけど教会は基本女性ばかりですし」
「優しい男の人とは何度か触れてるけど男っていう生き物にはね」
「ほう、それはなんというのか」
セクネスとアナスティアは触れた事自体はあるのだという。
だが男に対する免疫が弱いのは確かの様子。
「そんな事ではこの先恐らく行く事になるある国で大変そうですね」
「それって情熱の国とか言われるあそこかしら」
「情熱の国?とは?」
「西の国よね?」
エイルの言う情熱の国。
話ではその国の男性はとても軽いらしく、積極的に誘ってくるらしい。
「確かに…私とアナスティアは簡単に、かもしれません」
「そんな安い女じゃないわよ」
「でも男に免疫がないって意外と深刻よね」
「性的な話になると意外とウブなのよね、二人は」
エイルも意外とからかってくるものだ。
とはいえそういう男性問題はなんとかすべきなのかもしれない。
「ではこの国に滞在中に…というよりエルベリアですか」
「あら、いいわね、それじゃこの国の次はエルベリアで決まりかしら」
「どういう意味です?」
「エルベリアに何かあるの?」
ヒルデとエイルの考えているのは恐らく男性との接触だろうか。
エルベリアは海に面した国であり今の季節は夏である。
「まあ行ってからのお楽しみです」
「それじゃ次の小国に向かいましょ」
「あの二人策士だわ」
「私もやらなくちゃいけないのかしら、気が重いわ」
そうして次の小国に向けて飛び立つ。
ヒルデとエイルの考えている事が分かるのはまだ先の話。
なんか気が重くなってきたのだった。