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逃げ場のない部屋

明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします。


「ここが私の部屋よ。

広すぎて寂しかったからあなたが来てくれて良かった」


確かに一人で使うには広すぎるほど大きな部屋だ。

部屋にはベッドやテーブルなどの生活用品の他に本棚が並んでおり、窓からは港の町並みと遠くに海が見える。


セルノラはアルスをテーブルへと乗せると、確かここにあったはずとクローゼットの中をごそごそと探し始めた。


アルスはどこから逃げようかと辺りを見回していると、机の引き出しに挟まっている紙を見つけ、気になったので紙を引っ張りだし開いてみると、大陸が描かれた地図だった。


これは大陸の地図か。

やはり帝国軍の三大将が待っているものは違うな。えーと、 今いる場所は東にあるナチャロ大陸の港町か。


まさか東の大陸まで飛ばされていたなんて思わなかった。

俺のいたフィーネ大陸はほとんど真逆の場所にあるので、通りでこの場所に見覚えがないはずだ。

場所さえ分かればシュトラール王国に帰る事が出来るな。


「あった!

これはフェアルが小さい時に着てた服だけどまだ使えそうで良かった」


セルノラが嬉しそうに持って来たのはピンク色で可愛いリボンとフリルの付いたワンピース。

それを持ってアルスへとゆっくり近づいて行く。


今すぐ逃げた方がいいと本能が告げている気がする。


危険を感じたアルスは大慌てで机から飛び降りタタッと部屋中を逃げ回る。


「私からは逃げられないからね!」


必死に逃げるも、扉は重くて押す事が出来ず、窓も鍵がかかっているのか開ける事が出来ない。


ついに追い詰められたアルスは、もうここしかないとベッドの下の隙間へと潜り込んだ。


「あー!?

ほら良い子だから出ておいで。

見て、こんなに可愛いお洋服が待ってるよ〜」


それが嫌で逃げたんだよ。

参ったなぁ、このままベッドに立て籠もる訳にはいかないし他に出口を探さないと。


いくら待ってもベッドの下から出てこないアルスに、セルノラは溜息を吐きながらベッドへと座り込む。


「やっぱり帝国で育てたドラゴンと違って野生のドラゴンは言うことを聞かないか。

力を見せればいいけど、幼すぎるから無理そうだし」


コンコンと扉が叩かれ、セルノラは不機嫌そうに返事をする。


「この子が逃げるから扉は開けないでそのまま話して」


「はい、ネーベルフォレストの件ですがやはり我々では力が足りず、予備の騎竜を用意していたのですが・・・・その、セルノラ様の騎竜が暴れたようで、騎竜たちが出動出来ない状態でして・・・」


「何?フェアルが悪いって言いたいの?」


「いえ、そ、その、我々は魔法が使えませんので騎竜無しでは・・・・」


緊迫した空気が流れる。

扉の外にいる兵士も気が気でないだろう。


「ほんと役に立たないわね。

フェアル、戻って来て」


ゴッと風が吹いた後、フェアルが呼んだ?と言いながら窓から顔を出す。


「ネーベルフォレストに行って守護獣の鳥を捕まえるわよ。他のは殺しちゃっていいからね」


「トリ!おいしイ!食べタい!」


ネーベルフォレストに行かれるのはまずい。こうなったら、この姿でセルノラを止めるしかない!


「きゅあああ!」


ベッドから飛び出したアルスは、セルノラに飛びかかる。

が、簡単に捕まえられてしまい、逃げられないように首元を掴まれ抑えられてしまった。


「やっぱりやーめた!

私はこの子と遊ぶからフェアルも遊びましょ!」


「しかしセルノラ様ーーー」


「邪魔したら、ベレーノと同じになると思ってね?」


ひっ!と声を上げて兵士はドタドタと走り去って行った。


結果はどうであれ、どうにかセルノラを引き止められたようだ。


しかし、いつになったらこの姿から戻るんだ。聞こえているなら、この姿から元に戻るのはいつなのか教えてくれ。


【いつでも可能です。戻りますか?】


戻れるのか!って、今戻れるわけないだろ。

まぁ、いつでも戻れるなら焦る必要はない。セルノラが居なくなった隙に戻ってこの拠点を潰せばいい。


「もう追いかけるのも面倒だし、さっき服と一緒に見つけたこれを付けとこっと」


ガチャン!


・・・・ガチャン?

この首の感触からして、嫌な予感しかしないんだが。


恐る恐る見ると、鉄の首輪がはめられ、そこから伸びた鎖を手に持ちながら、これで良しとセルノラはニヤリと笑みをこぼす。


「き、きゅあ!?」


「ふふふ、もう逃げられないからね。

さっき服を探している時に見つけたんだ、この幼竜用の首輪。

この服を着たら私と一緒にお散歩に行きましょうね」


結局逃げる事が出来ず、可愛い服を着せられ屋敷の中や町中を連れ回されるのだった。


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