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ドラゴンになりし者

お待たせしました。


広場に集められたハピュたちが目を覚ます中、シュエットはハピュたちを落ち着かせドラゴンがシロであり解毒をしてくれた事を説明する。


「・・・なんという事だ。

我々は恩人に礼をするどころか追い出してしまったのか。

しかし、あの方がドラゴンだったとは」


助けてくれたアルスを追い出してしまった事を悔むウォルタナ。

仕方がないわとシュエットはウォルタナを宥めるとハピュたちに聞こえるように声を上げる。


「さぁ、帝国軍の脅威が去った訳ではないわ。今は身体を休め、次の戦いに備えましょう」


シュエットの言葉に誰も反論する事なく頷くが、レイナは納得出来ないようでシュエットに近づくとシロの所へ行きたいと言い出す。


「シロを追いかけないの?みんなを助けてくれたのに何も言ってないよ」


「言いたい事は分かるわ。

でもね、シロと居るのは危険なの。

それに貴女はまだ幼いし戦える力も無いでしょ?」


「だって、シロひとりぼっちだよ。

初めて会った時も悲しそうだった。お願い守護獣さま、シロを追いかけようよ。

誰も行かないなら、わたし行ってくる」


下を向いて今にも泣きそうなレイナをシュエットは落ち着かせようとゆっくりと歩み寄る。


「・・・・分かったわ。

貴女が行くと言うのなら私の後に続いて飛びなさい」


飛ぶという言葉に戸惑うレイナ。

アルスの背中に乗っていれば何とか空を飛ぶという恐怖に勝っていたが、今アルスはいない。


一人で飛ぶのは風で飛ばされた時以来のレイナは不安そうな表情を見せたが、悲しげに飛び去るアルスを思い出し、覚悟を決めたのかシュエットの前へと出る。


「では私の後について来なさい」


梟へと戻ったシュエットは土を巻き上げながら飛び上がる。


慌てて追いかけるレイナだったが、どんどん高度を上げて行くシュエットに追いつく事が出来ず、一気に恐怖がレイナを襲い景色がグルグルと回り始める。


「あ、う」


意識が遠くなり周りがぼやけていく。

必死にシュエットを追いかけるも、ついに全てが見えなくなったレイナは気絶してしまい、地面へと落ちて行く。


落ちて行くレイナに気づいたシュエットは、レイナを背中に乗せ地面へと降り、人へと戻るとレイナを抱えてベッドへと運ぶ。


「やっぱりダメだったわね。

でも、これで良かったのよ」


レイナの頭に手を置くと、手から霧が現れレイナへと吸い込まれていった。


「次に目を覚ました時、貴女はシロの事を忘れているでしょう。これは貴女の為でもハピュたちの為でもあるの。

【ドラゴンになりし者】は破滅を呼ぶ。どれ程の種族が滅びの道を辿ったか。

・・・ごめんね、レイナちゃん」


本当はアルスを引き止めたかったシュエットはレイナに謝ると、悲しげにレイナを見つめ霧に紛れて消えていった。


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