いざギルドへ
今回は短めです。
ギルドと呼ばれる場所へと入ると、黒いローブにフードを深く被った男と、ハピュの少女がカウンターに向かうのを見て、賑やかだったギルド内が静まり返る。
アルスは気にすることなく、カウンターの女性に声をかけた。
「この子をネーベルフォレストへ送り届けたいんだが場所を教えてくれないか?」
「はい、正確な位置は分かりませんが確かこの辺りだったと思います」
カウンターの女性に地図を見せてもらいハピュ族が住む森を教えてもらう。
ここからなら歩いて五日ほどで行けそうな距離だ。
「この辺りはガブルヘイム帝国の襲撃があったみたいですが濃い霧に阻まれて奥までは行けなかったようです。
シュトラール王国に続いてネーベルまで・・・」
「シュトラール王国は今どうなっている!?」
「ご存じないのですか?シュトラール国王は陥落したそうです。国王は捕らえられ王子は行方不明。ガブルヘイム帝国は王子に賞金を掛けてまで捜しているようです」
紙を渡されその内容を見たアルスは目を見開き絶句する。
手配書には自分の顔や名前、特徴が書かれていた。
ーアルステラ・エル・シュトラール王子ー
・生け捕りのみとする。情報も可。
・青い瞳に白銀の髪が特徴。
・報酬として500万ジール。
・協力するのであればその国には手を出さないと約束する。
これは国王を人質に取られ逃げられないように周りから固められた状態だ。
ガブルヘイム帝国がそれ程まで俺を狙う理由が全く分からない。
黙り込んでいたアルスを我に返したのはレイナの温かい手だった。
「シロ、大丈夫?」
レイナも無事に帰れるのか心配なはずなのに俺を心配してくれるのか。
これ以上心配させるわけには行かないな。
まずは必要な物を買うお金が必要だ。食料も必要だし、いつまでも裸ローブのままでいるのも御免だ。
確かギルドに登録すると資源の売却や討伐依頼を受ける事が出来たはず。
ギルドの登録の仕方を聞くと紙とペンを渡され、その紙に名前を書いて実力を見せればいいらしい。
シロと書き、自分の出身地などは適当に書いてカウンターの女性に渡す。
「えっと、シロ様ですね」
(服装が黒なのに名前がシロ!?)
ギルドの半分以上の人が心の中でつっこむが、当然本人には分からない。
「奥の方へどうぞ。お連れの方はあちらの席でお待ち下さいね」
席はレイナよりも高く、座るのも大変そうだ。
一生懸命ぴょんぴょんと飛び跳ねるレイナを優しく持ち上げて椅子に座らせる。
「少しだけ待っていてくれ、すぐに戻って来るからな」
「はーい、ありがとシロ」
その姿に悪い人では無いんだなとギルドの大半がそう思ってホッと方をなでおろすのだった。




