「死ねるリスト」の話
教室に入ると、「八つ墓」と「牛殺し」が鳩首して密談していた。
この時はまだ、二人ともあだ名が付いていたわけではなく、普通に名字で呼ばれていたので、O君とH君で良いのかもしれないけれど、イニシャルにするよりも、{八つ墓」「牛殺し」の方が書いていてスンナリ来る。
あだ名の由来は、「八つ墓」の方は、出身地が丹波なので当初「タンバ」というのがスンナリ決まったのだけれど、彼が
「タンバ、タンバいうけど、八つ墓村の映画のロケは、うちの近所で有ったんやで!」
と自慢したために「八つ墓」に変更になったのだ。
ちなみに八つ墓村は複数回映画化されているけれど、彼の故郷がロケ地になったのは、故 渥美清 氏が、金田一探偵を演じた時の事らしい。
「牛殺し」の方は、当初彼が、レレレのおじさんに似ていることから、当然のように「レレレ」だったのだけれど、コンパの時に彼が気取ってスクリュー・ドライバーを注文し、
「このカクテルは、別名『牛殺し』って言うんだよ。」(正しくは『女殺し』ですよね。)
と豪快にシッタカブリを決めたため、「牛殺し」が確定したのだ。
まあ、そんな二人が楽しそうにヒソヒソやっているから、混ぜてもらいに行くと、クラスの女の子のランキング作りをやっているのが分かった。
女の子のランキングと言ったら、普通は
○容貌
○スタイル
○性格
○知性
○運動神経
などの項目で、順位付けをするものなのだろうが、この二人は
「そんな事柄で、ランキングを作るのは、失礼極まりない。不敬である、とさえ言える。」
という。
「じゃあ、どうやって決めるの?」と質問すると
「このランキングは、魂を込めたランキングだからね。相手を主観的に自分はどう評価するのか、で決めている。」
などと、エラそうな返事が返ってきた。
具体的には
Aランク:いざという時には、その人のために、死ぬ事が出来る。
Bランク:いざという時には、その人のために、命を懸ける事が出来る。
Cランク:多少のリスクを負う覚悟はある。
Dランク:申し訳ないが、見て見ぬ振りをするのに、やぶさかでない。
Eランク:黙殺。
あまりの内容に、その時は息が出来ないくらいに笑ってしまった。
その時の事を思い出して、コメディーのつもりで書いてみたのだが、読み返してみると、コメディーというよりはサイコ・ホラーっぽい。
どちらの分類で投稿するか、迷ってしまう。
ちなみに、私のランクは「D」なのだそうだ。