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心の花  作者: そら
第4章
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第4章 第十八話

ふっ、昨夜更新実行をぽちっとな、とした所、時間オーバーのエラーとやらで更新できず、え、え、とやって、まずは編集画面にもどろうとしたら、画面は文章が消えて真っ白。私の頭も真っ白。

その場その場で書くとはいえ、そんなに時間たってたかあ??

はい、その場で挫折し、登録させてもらっているお気に入り小説を読みふけり、今はたっと気が付きました。

寝るの忘れてないか?

よし、現実逃避だ、という事で出かける前に更新しなおします。

ちなみに昨日の幻の18話はペット3匹の漫才でした。

ジュールは目の前で、自分から王冠を受ける新王カールをそっとみつめた。


馬鹿は嫌い、とよくリーナが言うが、この従兄弟はその典型だな、と思う。


戦乱時には、とりまき達いわく


「皇太子家が幽閉され、お血筋的にも大事な身、身を隠しておりました。」


と堂々と現在ケルダスを動かす中枢の、その戦乱を経て生き残ったレジスタンスの面々の前で、さも当然の如く言い放つ。


この従兄弟も、目の前におこっている事を理解する能力がない。


先王の時代しか知らぬこの従兄弟は、いずれ元の貴族制度に戻すのは目に見えている。


打ちひしがれていた貴族どもも、大喜びだ。


ジュールは自分が笑いだすのを必死に止めて、新王カールに言葉をかけた。


「血筋的にもやっと正統なカール王にこの王冠を渡せてほっとしました。この中枢を担うこの方々をよろしくお願いいたします。共に命をかけて、この国の為に戦った心あるものたちですから。勝手に去る私がこんなお願いをするのは、申し訳ありませんが、彼らをくれぐれもよろしくお願いいたします。」


そう言って玉座から降り、新王カールがそこに座る。


それを見届け、中枢の面々に頭を下げた。


最早、前王とはいえ、ジュールが深々と頭を下げると、即位式典に集まる中枢の人間や、レジスタンスからそのまま軍をまかされた者たちが、それ以上にジュールに頭を下げた。


それをみていた新王カールの側近連中から、これみよがしに声が出た。


「さすがは、離宮育ち、下々の者とあのように!」


「何という・・・、我らがケルダス王家の血が本当に入っているのか、信じられん。」


そういう言葉が聞こえてきた。


それを聞いて、気色ばる者達に、落ち着くよう言い聞かせ、


「カール王、よろしければ私は退室させていただきとうございます。ここを出る準備がいろいろございまして。」


そういえば鷹揚にカール王はうなずき


「許す。」


そう一言だけかけた。


それを聞いてまた共に戦った者たちは、怒りをその身に耐えた。


ジュール王は我々の事を考えて、我慢下さっている。


普通ここでは、たった一言のはずはない事を誰も感じた。


やはり噂は本当だったと。


その噂とは、あのカール新王側が欲のないジュールに難癖をつけ、純粋なかの王は、それに悩み、また共に戦った人間たちにもその矛先が向かおうとし、まだまだ身分の差は健在で、それによって自分たちがひどいようにならないため、このたびの善譲を行った、という者だった。


この噂は城内はおろか街中にも広まりつつある。


けれどジュールが新王にかけた言葉と、王であったジュールに対しての、あの屈辱的な様子に、あの噂は本当だったのかと、下を向いて唇をかみしめる面々であった。


新王即位の式典は、どこかいびつなきしみをはっきりと残して終わった。






王宮の外れにある、出立まで逗留することになった離宮で、ジュールはリーナの足元でくつろぎながら、本を読んでいた。


チルニー先生がお茶を入れる中、リーナに聞かれた。


「ジュール、王宮に財源がないのなんてすぐばれるんじゃない?あの馬鹿王、大丈夫?」


そう聞くリーナに、本に夢中なジュールは、


「ん、大丈夫です。」


とおざなりに答える。


それに、チルニーが補足する。


「我々が入城する前、ナンたちの部隊があらかた王宮内の財源は持ち出してますし、宝物庫のものに至っては、入城した日にジュールがこっそり王専用の部屋からしかいけないんで持ち出してます。」


「それで入城した後、顔合わせの場で、ジュール王が、共に戦った皆と全て隠し事などなくやりたいって言い出して、感激する道化たちを引き連れて、王城内の財源のなさを傭兵流にアピールしたんですよ。」


リーナはそれって、悪辣って言うのよね、と思いはしたが、


「面倒じゃなきゃいいわ。」


そう言って茶を味わった。


「う~ん、面倒になるのは、カールの方だよ。」


そう言ってジュールは寝転がっていたのをやめて、そのまま座り込んで話し始めた。


「だって、おみやげに、やり手連中にカールやその門閥の貴族たちに向かう時限式の爆弾みたいな感情植えつけておいたからね。いずれ貴族対レジスタンスのたたき上げとで、ドカン!だよ。」


「何にもないのに気づく前に、数年でカール王、いやケルダスは滅びるよ。彼ら庶民の時代到来だね。」


そう、天使のような微笑みを浮かべる。


「新しい拠点は、できるだけケルダスとラージスから離れたとこにして、ってナンにおねだりだわねえ。」


そうリーナが言うと、チルニーはおいしそうな菓子を差出しながら、


「大丈夫ですよ、あなたが、これ以上条件をださなきゃね。」


そう言って笑った。


「え~、私、私のせいで拠点選びが遅れてるの?そんな大変な要求してないけどなあ。」


そう言うリーナに、ジュールは、ニコニコと、


「小国とはいえ一つの国の財源の殆どを吸収しましたから、予算的には大丈夫だと思いますよ。思いっきり、要求しても平気ですよ、多分。」


と嬉しそうに黒い笑顔で答える。


それを見て、これって、かわいい「うさちゃん」じゃなかったの?ここにいるチルニーと、また例の主従の元にいるギランを思い浮かべ、悪いとこは早く吸収するわね、と思うリーナだった。

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