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心の花  作者: そら
第4章
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第4章 第13話

まさかの触手登場。

自分でも・・・寝不足で更新って暴走するんですね。


見捨てないでやってください。

リーナは、目をきらきらさせて、ラージスのうねうねコンビの後にまとわりつき、その手からの結構激しい出血もそのままの、もう護衛どころかペットも失格なんじゃないかと思えるギランを見て、はあ、とため息をついた。


ソファーに座る足を胸まで持ち上げて腕で抱えて、ソファーの隅にできるだけ小さくなるリーナをおかまいなしに、ジェイムス三世は、相変わらずその高貴と言われるロイヤルスマイルを乗せてリーナにゆったりと近づいてくる。


リーナにはうさんくさくしか感じられないが、その後ろに側近のハジムを従えて。


あら、ハジムさん、今のナイスだわ。


ハジムがまとわりつくギランを肩からの触手を使って、引きはがし、そのまま壁に触手でもって縫い付けたのが見えた。


「うん・・・痛そうだけど・・・。」


新たに洋服にではなく、その両手に再び触手を突き刺して縫いとどめるなんて・・・。


リーナはこのハジムには絶対逆らわない事を心に誓った。


ギランはそれでも嬉しそうで、


「え~何これえ、これじゃあルーちゃんとあそべないじゃん!ねえ、ルーちゃん。」


とおのれにささるハジムのそれに、一生懸命ニコニコと声をかけている。


やっぱり名前はその持ち主に関係なく決定なのね。


ギランをつい生暖かい目で見てしまった。


リーナは、たいがい現実逃避もここまでね、とソファーの足元から延びて、今や自分の頬をその糸のように細い繊毛手で撫でさすり、包み込もうとする、こちらに歩み寄るジェイムス三世の、だらっと垂れた片腕から延びる触手に目をやる。


普通15の女の子って、ここで悲鳴をあげるべきかしら?


サワサワと頬を唇をくすぐるその感触に、でもここで口を開けたら、絶対いけない気がする、とリーナは思った。


女の子として終わる気がする・・・、そう思うリーナだった。


目の前まできて、自分の前にかしづくラージス帝国帝王ジェイムス三世に目をやる。


目が会うと、くだんの帝王は、それはそれは甘い甘い、絶対見たくないその笑みを自分に向けた。


「お久しぶりです。リーナ嬢。祝賀会の折には大変失礼いたしました。」


「ですが、よくテラスから、中庭におられるあなたを、そっと胸をたからせながら拝見しておりましたよ。」


そう言って、その新しい義肢にはえる5本の鋭い刃の指先で、私の手をそっと救い上げ口づけを落としてくる。


もうやだ、この主従!


だって、ハジムは相変わらずこちらを見ながらも、器用なことに、自分の背後の壁に縫い付けたギランの顔の前に触手を太く一本にまとめたものをちらつかせ、威嚇している。


ここから見るに心なしか、ギランを壁に縫い付けている触手も増えてきている気がする・・・。


そしてこの帝王は、わざわざこの物騒な触れ方を、一つ間違えればスプラッタな、それ指じゃないよね、むき出しの剣だよね!の方でわざわざ私に触れてくる。


そこからあふれ出す触手のおまけつきで・・・。


「やっと、いろいろ慣れましたので、本格的に動き出そうと思っていたところです。真っ先にご挨拶に伺おうと思っておりましたのに、あなたから訪ねてくださるなんて、何て嬉しいサプライズでしょう。」


そう言い、新たな触手で隅に固まる私に触れてくる。


というか「動く」宣言なんて、何て不吉な宣言かしら、これ以上お願いだから、このまま大人しくしていてほしかった。


う、動けない、更に小さく縮こまるリーナは、


馬鹿猫、化け猫何とかしろ!と、思わずギランをキッとにらみつけた。


それに私ってば、どう見ても肩に担がれて無理やり連れてこられたの知ってるはずよね。


どうしたら、そう都合の良いように変換されるんだろう、ここにも変な生き物発見だわ。


私が固まっているのをみて、ハジムがすかさず私に慇懃に礼をして、こう言った。


「陛下の愛のなせるわざでございます。」と。


ハ、ハジムさん、私の心情をおもんばかる前に、ギランを考えて!


後ろの触手やる気満々にさらに高くえぐるような動きをギランの顔の前で繰り返してますよ。


はあ、心配する私がギランを見ると、思わず脱力する様子が見えた。


ギラン、そんなに嬉しそうに触手に合わせて顔を振り振りしてる場合じゅあないよ、絶対やる気だよ、それ!わかってる?


私はジェイムス三世をとりあえず無視して、ハジムさんに言った。


「すいませんが、あれあのままえぐったら、さすがギランでも可哀そうなんで、放していただけませんか?」


そう頼んだ。


しかしハジムさんは何のことでですか?と穏やかな笑みで私を見て、私の手にキスをしまくり、わけのわからない歯の浮くようなセリフを言い続ける自分の主を好々爺が見るように目を細めてみている。


はあ、降参だ、久しぶりにあった古狐コンビ、もとい、うねうねコンビは相変わらずだ。


いや、うねうねが増えた分、更に厄介極まりない。


お願いです、陛下、私の髪をそのうねうねで梳くのはやめて頂きたい。


自分の髪から触手が生えているようで、さすがにその絵柄は15の乙女として許せる範囲を超えています。


ハジムが急に眉をしかめて、後ろを振り返ったので、私もそちらをみると、ギランが、


「もう、これじゃ、ルーちゃんと楽しくあそべないじゃん!」


そう言って片手を無理やりそのまま力ずくで引き抜き、すぐさま取り出した刃で自分の動きを邪魔する触手を切り裂きはじめた。


「めっ!」


ギラン、めっ!じゃないよ、それあんたと遊ぶ気ないみたいよ・・・。


ハジムさん不気味なオーラはなちはじめてるから。


これはギラン一時退避させなきゃ、私これ以上面倒なのはいやよ。


「ギラン!伏せ!!その手血だらけでしょ。すぐ治療してきなさい!」


「遊ぶなら、その後よ。お願いしといてあげるから、早くいきなさい!」


ハジムさんは、私をみて、それはいい笑顔で、私もこんな状況じゃなかったら逃げ出したい黒い笑顔で、


「ええ、それは、それはお約束いたいます。ギランどのとは、じっくりあ・そ・び・たいと常々思っておりますから。」


そう答えた。


ギ・ギランあんた何をしたの、この人まじだよ、ギラン。


私はあわててこの馬鹿猫に再度治療を促した。


「約束だよっ!すぐもどってくんからね!」


そう言ってその血がしたたる手をまたしても振り回し、部屋中にその血をまきちらしてギランは出て行った。


はあ、思わずあけまいと思っていた口を開いてしまった私に、案の定このわけのわからない陛下は、その細い触手を伸ばし、私の唇からその舌まで、ちょろちょろと触れてきた。


思わず涙目で私の足元にかしづく陛下を見てしまった。


やめてほしくて。


だって、これってば、わけわからない触手だよっ、初めて見るのに、その初体験通り越して、更にレベルアップな体験なんて、これっぽっちも少しも望んでないのに!





愛しいリーナのその無垢な愛らしさと、おのれの触手に覆われるその顔、そしてちらっと覗く赤い舌に初めて触れるその感触を、繊細な触手ごしに味わっていたジェイムスは、愛してやまない、時間がたてばたつほど、また底なしになっていく自分のその感情に、まだまだ子供であるリーナの為に大人である自分が驚かせないよう少しずつ自分に慣れさせて、あの父親より、傭兵団の人間より、どろどろに甘やかして自分の底なしの愛情の中に閉じ込めて、共にその底なし沼に埋もれていくつもりであったのに、その涙目に自分をみつめるそれに、たががはずれるのを感じた。


その自分の感情を受けて一気に大量の触手がリーナを持ち上げて、自分の腕にリーナを運んできた。


腕に閉じ込めた触手に埋もれた愛しいリーナを、その激情のまま絨毯の上に押し倒し、全身をすきまなく触手で触れて、顔だけを出させたリーナに、


「愛しています!」と繰り返し、熱い口づけを送った。






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