第4章 第2話
今回、時間の都合上、短いので改めて今日中に更新したいと思っています。
できれば、ですが。
ラージス帝国とケルダス王国との国境沿いのケルパラ平原で、それぞれ正装の両軍は対峙し、それはあっけないほど滞りなくリーナの受け渡しが行われた。
ふだんより無表情の、やつれのみえる父の姿を見たリーナは、ジェイムスに手を取られ、その傍に歩み寄り、父を自分からぎゅっと抱きしめた。
抱きしめた父の体が、顔は無表情でも体が震えているのがわかり、何も言わずみつめあった。
そのままジェイムス三世と父はそれぞれハジムとナンを連れ、急ごしらえの天幕でそのまま話し合いをはじめた。
リーナは馬車に乗せられ、馬車で待っていた自称ペットの3人と再会した。
自分の失敗だと、リーナが、3人がかりに抱きつかれても文句も言わず大人しくしているのに、しまいにはギランがぺろぺろと顔をなめまわすものだから、チルニーやジュールまではじめるものだから、さすがに、これはない、と思いこの大型獣2匹とうさぎを引きはがすべく声を出そうと口を開けた所に、なめまわすギランの舌がするりと入ってきて、驚きのあまり硬直するリーナにかまわずチルニーまで舌をすべりこませる。
こ、このお馬鹿ども!硬直したリーナだが、リーナはすぐさまこの体勢で、できる限りの反撃をした。
思い切り歯を立ててやった。
二人は軽く出血する口をおさえつつも、ニコニコで、その血を舐めながら、そしてジュールはというと刺激が強すぎたのか、真っ赤にうつむいてしまった。
「えへへ。すんごい我慢していたんだからあ。ご褒美ちょうだい。」
「あなたの、あなたの初めての口づけをありがとうございます。」
二人がこちらをみつめて言うのに、
この馬車に入って、そのまま抱きつかれ、そしてはじめての会話がこれか、とリーナは冷たくため息をはいて、、
「犬や猫になめられるのなんかカウントしません、というか離れて。」
と、いつもの空気に戻ってぎゃあぎゃあ騒ぎながら、リーナはやっとここに戻ったことを実感した。
そして、いつのまにか、この3人。
こんなに、特にギランが本気で気を許していることに驚いた。
どうやら自分がいない間、この3人には何かあったようだ。
そして、あんなに顔中なめまわされても実は嫌じゃなかったのは3人には内緒だ。
あんな必死なギランの目初めて見た。
あまりにも、ストレートな彼らの感情は、特にあのラージス皇とその古狐をみてきた自分には、とても気持ちが落ち着くものだった。
まして、父でキスに慣れてる15の娘ってどうなんだと頭に浮かんだが、先ほどのあんな父の様子を思い出して胸がずきりと痛んだ。
早く話し合いを切り上げて私の元に来てほしい、そうしたらたくさんのお話をしてあげるのに、そう思い幸せそうにくつろぎ始めた3人に微笑み、外の天幕へと目をやった。