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心の花  作者: そら
第1章
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第2話

ちゃんと投稿できました。


ギランは歌っていた。


歌いながら、片手には両刃の短剣を、もう片手には持ち手に特殊な細工が施してある更に細身な短剣を交互に、あるいは片方で流しながら、踊るように止めをさしつつ、歌っていた。


「かぁわい~のはだあれぇ~」

「だっあれ~、だ~あれぇ~」

「ギ~ランがだいすき~、だいっすきい~、だいすぅきぃ~」

「ギ~ランがい~ちぃば~ん、いぃちばん~、い~ちぃば~ん」

繰り返し、歌ともいえないそれを歌っていた。


「おっと、こらこら、弓兵かい、だめじゃん、だめじゃん、弓を使う肩のしなりが、いまいち残念だねえ~。ほんと残念!」


ギランに向かって飛んできた矢を間一髪でかわしながら、そんな軽口を二階のバルコニーに隠れていた弓兵たちに向けていった。


続けて、「シーガちゃ~ん、出番だよ~」などと、ここが戦いの場とは思えないほどの、あまりにのんびりした声をだした。


それと同時に、二階のバルコニーが数度の爆音と共に吹き飛び、最早何者かもわからない形状の塊が血をまき散らしつつ、瓦礫と共に降り注いできた。


「も~、シーガちゃんたら、まだ俺移動してないよお、ほんと、俺がトロかったら、ど~すんのさ。」

後ろを振り返りながら声をかけた。


「あれ、今チッって舌打ち聞こえんかった?えっ、今したよね!わざと、わざとなの!なに、それ!」


「ねえ、この扱いっててひどかねえ?」


そう周りを見渡して声をかけると、ギランの周りにいた暗器隊の部下達は、なにげに目をそらし、新たな敵をめざして、駆け出していく。


それをみて、ギランは、またブツブツと何かいいながら、自分も破壊された神殿入口に向かった。


ここにきて、もうすでに半刻以上過ぎている。


まず表門を特化のシーガ隊が破り、裏門も同時に爆破でふさぎ、さらに逃げ出せないよう第一遊撃隊の一部で固めている。


さすがに、はじめのうち中庭で聞こえていた神殿警備兵たちとの剣戟の音も、いまやおさまりつつあった。


暗器隊隊長ギランを筆頭に、暗器隊精鋭38名。


第一遊撃隊60名、第三遊撃隊50名、そして特化部隊のうち、爆破専門のシーガ隊がここ、中央神殿が管轄、大都市ラクゼにある地方神殿に押し入っていた。


地方神殿とはいえ、大都市ラクゼにあるそれは、周囲6都市を管轄とした、れっきとした中央神殿の分殿にあたる。


正規の神殿警備隊が1隊40名。


地方神殿が独自に雇う警備兵が50名。


そして奉仕の自警団が60名、これは名前は良いが、要は食いつぶしのごろつきどもで、神の名の元、身を寄せていた。


この自警団は一般の街の人間達への、牽制の意味も込められていて、地方神殿には必ず存在している。


実際の所、ここラクゼでは、ラクゼ地方神殿神官長ファイスを頂点に、副神官2名、神官30名、神官候補生150名が、ここの活動をになっていた。


先の依頼での報復として、このラクゼの地方神殿が選ばれたのは、ニルガとしては当然の事ではあるが、弓兵が増えていた以外は、何の手も打ってないところをみると、よもや、この大陸で主神ヤーンを祀る神殿に対して刃を直接向けるとは、考えもしていなかったに違いない。


神殿としてみれば、今回、警告の意味を込めたニルガ討伐が失敗しても、お家大事さに、神殿と手を組んだキリシュ家に、その矛先は向かうだろうと思っていた。


成功すればニルガ傭兵団に対し、警告でき、再三再四要求している献上金の具体的な話し合いの席につかせる、はじめの1歩になる。


失敗しても、どうせ潰すと決めているラクゼのキルシュ家が消えるだけだ。


しかし、その目論見は失敗した。


現に、ギラン達は、残りの警備兵達を一人も残さぬ勢いで始末しつつ、神殿内に突入しはじめた。





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