第2章 第10話
伊豆にいってきました。
ちょびっと紅葉をみましたが、どうやら自分は海より山の温泉が好きだとわかりました。
リーナは、朝作った弁当をのんびり食べていた。
鶏肉のうまみをかみしめながら、朝の村の様子を思いだし、また、大事に食べていく。
そして、目の前の犬よろしく、ニコニコと微笑みながら、自分の足元に座り込むチルニー先生が、少しでも自分に近づきすぎれば、じゃけんに足でけって自分から離すのを繰り返していた。
さすがにリーナも、はじめ血を洗い流してきた先生が、自分に無防備に近づき、足元に座るのをみて、丁寧な口調で、お断りをいれた。
自分はちょっとした用事で学舎にきたが、その用事もすんだので、休みの教室を失礼とは思うが昼食をとらせていただいてから帰ります、と。
先生がここに、こういう体勢でいる意味がわからない、ともいった。
けれどチルニーは、顔を蕩けるさせるだけで、何もいわず、リーナをみているだけだ。
うん、こういうのは他にも居た気がする、似ている奴がいた、もちろん、向こうの方が数万倍凶悪だが・・・。
ためいきをついて、足で時々チルニーを蹴りながら、ここにきた目的を考えた。
今宵、村は綺麗に焼かれ、2、3日後には村の人間が姿をみせないのに不思議に思った誰かの手で発見されて、しばらくは涙と共に語られてやがて忘れられる。
ただし、同じ学舎の子らはきっと覚えていてくれるだろう。
いつか大人になって、子供ができれば、子供にに語り継いだりするに違いないと思う。
それだけ濃い時間を共に過ごした自覚がある。
ここで、リーナはアンナ達に引きずられながら、子供という時間を初めて味わい楽しんだ。
たくさんの、たくさんの馬鹿ないたずらをしたり、されたり、虫を追いかけ探検ともいえない探検に胸を躍らせたり、ここで過ごした時間で、生と死の、それまでの自分の周りにあった、ありふれた死とはどこか違った、ちゃんと重さを持ったそれを知った。
そして、あのろうそくの灯りは、リーナのどこかを根本的に変えた。
チルニーを冷めた目でみる自分と、チルニーとともにあった、あの時間を、チルニーの中にある、アンナ達との時間を惜しむ自分が、ここにいた。
チルニーを足でけりながら、このチルニーという教師が、ただの教師ではなかったという事を、学舎で繰り広げられた凶行で知った今も、迷っている自分を持て余していた。
朝、食事を食べながら、学舎の教師たちも処分するとウォーカーがいい、ちょうど祭りの片付けと祈りにとられ、ゴーストタウンと化す町はやりやすいと笑いながら、ジルスがその任にあたることになった。
それをリーナが教室で最後に弁当を食べたいといいだし、ジルスには待つよういい学舎にきた。
さきほど、チルニー先生が教室に入ってから時々奇妙な視線を向けることで、ジルスがきていることがわかった。
そのたび隠そうともしない殺気が、おいおい、というほどジルスから放たれる。
それを感じながら、自分の足元に座る自分のこの担任をどうすべきかリーナは、お弁当を食べ終わるまでにきめようと思った。
今日は、一度出かけますので、続きは帰ったら更新します。