第1話
投稿できますように・・・。
この大陸には五つの国がある。
大陸一のダゴン山脈によりそうような形のケルダス、広大なアシパラ草原を有するケルパラ。
この二つは、もともと同じ国家であったが、先の内乱でケルダスが、力でもって独立をした為、いまだ一発触発の危機にあるのを、何とかケルパラの王族がここ数代、縁組をすることで均衡を保っていた。
東に位置する主神ヤーンの、唯一の民だと自負するゲラン神国。
王族を持たず、商人ギルドによってなる、大陸を縦断するウェスラム街道の端に位置するサファラン。
そして大陸の中心に位置し、最大の国土を持つ、ここ数十年は飛ぶ鳥を落とす勢いで繁栄を謳歌するラージス帝国。
ニルガ傭兵団の本拠地は、ケルダス領内のダゴン山脈にあるといわれているが、実際のところ大半の団員たちは、この大陸中に、それぞれのグループごとにバランス良く分かれて、表では宿屋や食堂を営みながら活動していた。
そして依頼があれば、基本、その地域ごとに事に当たっていた。
ケルダスの王都であるファーレンから、わずか3日の距離にあるレンビットという中規模の街にある宿屋兼食堂「踏んだ尻尾亭」では、今が夕食のピークとみえて、腹の出た赤ら顔の店の主人ビート自ら、大きな皿を抱えて、数人いる通いの娘たちと店の中を汗だくになりながら飛び回っていた。
あまり品の良い客層とはいえないうえに、安い酒も入り、あちこちでイザコザが起きているが、誰一人
気にするものもいない。
時々飛び交うナイフやら、皿などを、みな器用に避けて一日の終わりを思い思いに過ごしている。
そんな喧噪も、宿屋の二階の奥の扉を抜けた更に最奥までは届かない。
そこには、ひどくがたいのいい男数人と、赤銅色の髪を無造作に結わえたギランが、傭兵団のリーダーであるグレンの言葉を待っていた。
グレンは膝に抱えた可愛い娘の髪をしばし撫でながら、
この間の報告をみたか、とつぶやき、
「あちらさんは、どうやら俺たちと遊びたいらしい。なあ。」
「遊びには最低限のルールがあるってこと、優しい誰かが教えてやんないとなあ。」
と、顔をあげ目の前の男たちを見た。
その暗く昏い目は、その場のすべてを瞬時に凍らせ、百戦錬磨の男たちを震え上がらせた。
空気さえも凍ったと思われたその時、ギランは何事もなかったかのように、
「ボス、ひっさびさに怒ってんねぇ~。怒るのは美容の大敵だよ~。30過ぎたら男だって気を付けなきゃ。悲惨なことになるよ。」
などと、笑いながら、ドアの方に向かい、背中で手をひらひらさせて、
「んじゃ、俺ね。」といいつつ部屋を出て行った。
部屋に残った男たちは、ギランの去ったドアを茫然と見て、はっとしたかのように、グレンに向き直った。
「今回はギランの指揮下に入れ。第1と第3それと特化に召集をかけろ。捕虜はなしだ。」
捕虜はなし、とのグレンの言葉にしっかりと頷くと、それぞれの部隊をまとめるべく、男たちは部屋をでた。
と、投稿できた?