表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万年Fランクの荷持ち、ハズレ枠『解体』スキルでダンジョンの壁を崩したらSSS級素材が出た〜誤配信で世界中が震えている件〜  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/183

EP 5

フロアボス『深淵の魔龍』vs 物理法則を無視するFランク

「グルルルルッ……!!」

 地響きのような咆哮が、ダンジョンの壁を震わせた。

 『深淵の魔龍アビス・ドラゴン』。

 全長20メートルを超える漆黒の巨体。その瞳は金色の光を放ち、周囲の空間すら歪めるほどの魔力を放出している。

 本来なら、国家レベルの討伐隊が組まれる災害級モンスターだ。

「うわ、やっぱデカいな……」

 俺はスマホを掲げたまま、少し後ずさった。

 画面越しの視聴者たちは、パニック状態だ。

『逃げろおおおおお!』

『終わった。これ特級指定の「ヴォルガ」だろ?』

『Fランクが遭遇していい相手じゃねえ!』

『死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ』

 コメント欄が高速で流れる。

 だが、俺の意識は別のところに向いていた。

(喉、乾いたな……)

 緊張のせいか、口の中がカラカラだ。

 飲み水はさっき剛田たちに奪われたリュックの中。手持ちはない。

 ゴオオオッ!!

 ドラゴンの口元に、赤い光が集束する。

 ブレスだ。

 数千度の熱線が、俺を蒸発させようと放たれる――寸前。

「熱っ! やめろって!」

 俺は反射的に手をかざした。

 熱いのは嫌いだ。

 この熱エネルギー、構造さえ分解すれば無害化できるんじゃないか?

 炎もまた、魔力と酸素の結合体に過ぎない。

「――『解体』!」

 カッ!!

 放たれた極大ブレスが、俺の手のひらの前で霧散した。

 いや、正確には「変換」された。

 熱エネルギーが純粋な魔力還元水マナ・ウォーターへと強制的に組み替えられ、青白く輝く水球となって空中に漂う。

「あ、水だ」

 俺は空中の水球を両手で掬い、ゴクゴクと飲み干した。

 冷たくて美味い。

 高濃度の魔力が体に染み渡り、疲労が一瞬で吹き飛ぶ。

「ぷはーっ! 生き返るぅ!」

 ……静寂。

 ドラゴンが、口を半開きにして固まっている。

 視聴者のコメントも、一瞬だけ止まった。

『…………は?』

『今、ブレス飲んだ?』

『飲んだな』

『おい、今のブレスだぞ? 岩盤を溶かす灼熱の?』

『「生き返るぅ!」じゃねえよwww』

『人間やめますか? それとも人間やめますか?』

『栄養ドリンク感覚でブレス飲む奴初めて見た』

 視聴者数:10万人突破。

 俺が喉を潤している隙に、我に返ったドラゴンが激昂した。

 魔法が通じないなら物理だと言わんばかりに、巨大なあごを開いて噛み付いてくる。

 鋭い牙の一本一本が、俺の身長ほどもある大剣のようだ。

「危ないな! そういう危ないのは没収!」

 俺は迫り来る牙に向かって、再びスキルを発動した。

 対象は『ドラゴンの牙』のみ。

 根元から分離しろ。

「――『解体』!」

 ガチンッ!!

 勢いよく閉じたドラゴンの口から、悲しい音が響いた。

 俺を噛み砕くはずだった牙が、全て根元からポロリと抜け落ち、俺の足元に山積みになったのだ。

 ドラゴンの口の中は、老人みたいに歯抜けになっている。

「グ? グガッ!?」

 ドラゴンが慌てて後退り、自分の口元を前足で触る。

 情けない声が出た。

「お、これいい素材になりそうだな」

 俺は足元の牙を拾い上げた。

 『龍王の剛牙』。

 一本で億単位の価値がある最高級素材だ。

 俺はそれを「とりあえず武器代わりになるか」とブンブン振り回した。

『歯ァwwwwww』

『ドラゴン可哀想www』

『虐待だろこれ』

『ブレスは飲み水、牙はおもちゃ』

『もうこいつ一人でいいんじゃないかな』

『【速報】世界最強の解体屋、爆誕』

 俺は牙を構え、震えるドラゴンに向き直る。

「よし、次は肉だ。妹に美味いもん食わせてやりたいしな」

 俺の目には、もう恐怖の対象としては映っていない。

 ただの巨大な「お肉の塊」だ。

お読みいただきありがとうございます!


評価・ブックマークで応援いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ