2020年代後半:セイロン島沖合宇宙港建設計画の策定
核戦争から約60年が経過した2020年代後半、日本は環太平洋条約機構(TPTO)の中心と
して世界の安定と繁栄を牽引していました。ファイルにもあるように、この時期には第一
世代コロニーが稼働し、宇宙資源の利用が本格化し始めています。この宇宙開発をさらに
加速させるため、TPTOの傘下機関である環太平洋宇宙機構(TPSA)は、次の時代を見据
えた巨大プロジェクトの立案に着手しました。
それは、マスドライバー、軌道エレベーターといった究極のインフラを備えた、地球上で
最も効率的な宇宙港の建設でした。
1. 候補地の選定
既存の宇宙港である嘉手納宇宙港(軍事・安全保障が主目的)とトラック島宇宙基地
(TPTO圏内の商業・科学拠点)は、それぞれの役割を果たしていました。しかし、第二
世代コロニーのような大規模プロジェクトに必要な莫大な資材を、最も安価に宇宙へ運ぶ
ためには、地球の自転速度を最大限に利用できる赤道付近に新たな拠点を設ける必要があ
りました。TPSAは、その候補地として核戦争の被害が少なく、インドや東アフリカと
いった地域との連携も容易なセイロン島沖合を選定します。
2. 新たなインフラ構想
この宇宙港は、単なるロケットの発射台ではありませんでした。
* マスドライバー: 月面や小惑星から運ばれてきた資材を、宇宙港から直接軌道上へと打
ち出すための電磁加速装置です。これにより、ロケットの燃料消費量を劇的に減らすこと
が可能となります。
* 軌道エレベーター: 最終的には、この宇宙港を起点として、地球と宇宙をエレベーター
で結ぶ究極のインフラを建設する計画です。これは、人類が地球から宇宙へ、恒常的に安
全かつ安価に移動することを可能にするための、長期的なビジョンでした。
3. 外交戦略としての宇宙港
この宇宙港計画は、単なる技術的なプロジェクトではありませんでした。TPTOは、セイ
ロン島沖に宇宙港を建設することで、インドや東アフリカといった沿岸諸国をこの巨大
プロジェクトに巻き込み、宇宙という共通の利益を通じて、旧来の対立を超えた新たな
国際秩序を構築しようとしました。この計画の策定は、今後の世界のあり方を決定づけ
る、重要な第一歩となったのです。




