クーデター直前の高天原社会(2310年代半ば)
1. 経済的危機
火星開発と大西洋復興の二重負担が国家財政を圧迫。
歳入の半分近くが火星関連に吸い込まれ、生活インフラ・教育・医療は慢性的に不足。
債務残高は宇宙市民史上最大規模。
地球からの借款依存が深まり、「高天原は事実上の債務国家」と揶揄される。
2. 社会的疲弊
かつて「夢の都市」と呼ばれたコロニー群で停電・断水が常態化。
公共サービスは崩壊寸前、失業率も上昇。
火星開拓に人材を送りすぎたため、
コロニー内部の労働人口不足が深刻化。
食料自給はL3農業群でかろうじて確保していたが、輸送費の高騰で物価は暴騰。
3. 国民心理
2300年代初頭:赤い都市完成に熱狂、「我々こそ人類の先駆け」と誇りを持つ。
2300年代半ば:夢と誇りの裏で生活は苦しくなり、熱狂は冷め始める。
火星移民志願者 → 減少傾向。
移民の帰還希望者 → 増加。
「火星のために我々の生活は犠牲にされているのでは?」という不満が噴出。
4. 政治的混乱
宇宙住民議会は与野党の対立が激化。
与党:「火星事業は国運を賭けた使命」
野党:「負担に対して見返りが少なすぎる、即時縮小せよ」
しかしOSTOとの条約上、事業停止は不可能。
結果、議会は事実上の機能不全状態に陥る。
5. 治安悪化
生活苦による抗議デモが頻発。
一部では暴動化し、保安警察が鎮圧に投入される。
保安警察内部でも「市民を抑え込むのは本来の使命ではない」「我々は利用されている」
と不満が蓄積。
6. 軍事的要素
高天原にはOSTO宇宙軍の駐留艦隊が常時存在。
だが兵士の多くは高天原出身者であり、家族が苦しむ姿を見て忠誠心が揺らぐ。
「我々の力を地球のためにではなく、高天原のために使うべきだ」という声が士官団内に
広がる。
7. クーデター前夜
社会全体が閉塞と焦燥に包まれる:
夢に酔った誇りは色あせ、残ったのは借金と疲弊。
政治は無力、経済は破綻寸前、治安は混乱、軍は分裂の兆し。
こうした状況で保安警察は「議会を排除し、強権で国家を立て直すしかない」と決断す
る。
そして2318年、「高天原の名誉と独立を守る」ことを名目にクーデターが敢行される。




