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4-8 奴隷解放記念日

前回の続きになります。

討伐作戦を執行中に想定外のピンチを迎える仲間達の回です。

「早くっ! 今頃、仲間達が討伐作戦の実行をっ!」

 と言って焦る巧実に、社員に指示を出している智晴が宥めてくる。

「今っ、セッティングを行っている最中だ。しばらく待ってくれ」

 苛立つ巧実は、ゲームの世界で行動している紬久美や仲間達が心配で仕方なかった。

 今出来ることは、智晴が招集した社員達のセッティングを待つ以外に他はない。

 その頃、ゲームの世界では行動を開始する紬久美や仲間達は出来上がったばかりの巨大戦艦で巨大化した暴走OSメシアの居場所に向かっている最中。

 レーダーで索敵を行う宗明が、

「現在、本艦を襲撃する敵はありませんっ!」

 と険しい顔で仁王立ちする紬久美に伝達する。

 宗明の報告を受けた未琴は、巨大戦艦の操縦士を担当する未琴に指示を出す。

「目標、暴走OSメシアっ! 全速前進っ!」

 すると、操縦士の未琴は凜とした表情で舵を取る立ち姿は不思議と様となっている。

 操縦士の未琴を見守る重信の担当は機関士、目の前に浮かぶパネルを見ながら動力炉の状態をチェックする。

「動力は安定しておる。もう少し、速度を上げても大丈夫じゃ」

 と重信の声が聞こえ、敵が目視できるまで速度を上げる未琴。

 艦橋メインブリッジ内は、自衛隊の最新の護衛艦のレイアウトを参考にしたのかコンパクトながらも機能的にまとめられている。

 静寂に包まれる艦橋内、唯一聞こえてくるのは動力炉からの振動音のみ。

 しばらくすると、レーダーに巨大な影が映し出されたのを発見した宗明が緊張した面持ちで紬久美に伝達する。

「二時の方角に巨大な影発見っ!」

 宗明の報告が耳に入った瞬間、紬久美が窓際まで歩み寄り双眼鏡で確かめる。

 双眼鏡に映る物は、巨大化した暴走OSメシアが固く閉ざされる光の柱のゲート前で待ち続けている光景。

 暴走OSメシアが目に入った瞬間、険しい表情で早希と重信に指示を与える。

「早希、おじ様、作戦の準備を始めてっ!」

 紬久美の指示を受けた早希は、ヘッドセットのマイクの位置や通信機器を調整する。

 同時に、重信も機関士の席から通信士の席に移動して腰にぶら下げている小さな籠からコウモリの宇喜多を取り出す。

 重信の行動を見た瞬間、紬久美や仲間達は防音のイヤーマフを装着。

 お互い声の聞こえない状況の中、唯一意思を伝達するのはジェスチャーのみ。

 舵を取る未琴は、少し速度を落としながら巨大戦艦を二時の方角に合わせ前進。

 沈黙の艦橋内、前方に巨大化した暴走OSメシアが誰もが目視。

 紬久美が確認のために窓際まで駆け寄ると、暴走OSメシアの手前にいるのは転送された挙げ句に洗脳された数十人の人々が目に入る。

 確認した瞬間、紬久美はジェスチャーで早希に作戦開始の指示を与える。

 紬久美の指示を受けた早希は、ヘッドセットのマイクで放送を開始する。

「グッドモーニング、エブリバーディーっ! 五月〇日、朝のお目覚め如何でしょうかっ?」

 まるで、地方ラジオ局のテンプレートみたいなDJ口調の早希。

 これには、紬久美を始め仲間達が目を丸くして驚く以外に他はない。

 それでも、ラジオ局のDJと化した早希のしゃべりは止まらない。

「おやっ? 反応が悪いようですね。皆さん、朝のお目覚め悪いのかしらっ?」

 と問い掛けて挑発する早希だが、暴走OSメシアと洗脳された人々は無視するように光の柱の前に立ち続けるのみ。

 そんな、無反応なメシアと洗脳された人々に、

「それでは、目覚めの悪い皆さんが爽やかに目の覚めるような一曲をお届けいたしますっ! それでは、どうぞお聞き下さいっ!」

 と言って縛り付けたコウモリを手にしている重信にジェスチャーで合図を送る早希。

 少し首を傾げる重信だが、手にしているコウモリをマイクに近づけて、

「ではっ、いい声聞かせて貰おうかっ! 宇喜多っ!」

 と言って猿ぐつわを解いて握り潰すような握力で締め付ける。

 当然、締め付けられる苦しみと痛みが重なり合う宇喜多は思わず、

「ぎゃぁぁぁ!」

 と艦橋内に響かせる叫び声を上げる。

 クルーの仲間達は、イヤーマフを装着しているのに耳を押さえ激しい頭痛のような痛みに苦しむ。

 頭痛に苦しみながらも早希はボリュームを最大に上げ、光の柱の前で立ち続ける暴走OSメシアと洗脳された人々の耳に届くくらいの大音量を流す。

 大音量を聞いた瞬間、光の柱の前に立ちづける人々はコウモリの叫び声を聞いて頭を抱えて苦しみ始める。

 さらに、巨体を誇る暴走OSメシアもコウモリの叫び声で苦しみ訴える。

「なっ、なんだっ? 不快すぎるっ、この不快すぎるノイズはっ?」

 巨大戦艦から発するコウモリの叫び声は、拡声機能が加わり天変地異を引き起こすほどの破壊力を発揮する。

 地震が起きないはずなのに大地や山が振動し、無風なのに木々や草花は激しく揺れ、晴天なのに海や湖などが荒れ狂うほどの波が打ち寄せる。

 その上、地面に押し潰されそうな重力が加わり誰もが跪く。

 数分後、身の危険を感じた重信はコウモリの宇喜多に猿ぐつわを噛ませて大人しくさせると腰にぶら下げている小さな籠へと押し込める。

 天変地異を引き起こす叫び声から解放されると、

「皆の者よ、あの目障りな戦艦を打ち落とすのじゃ!」

 と言って暴走OSメシアが洗脳している人々に命令を出す。

 ところが、洗脳された人々が不思議そうな表情で周囲を見渡し命令に従おうとしない。

 地面に落ちたデバイスメモリを発見した瞬間、転送された人々の洗脳が解けたことを知り暴走OSメシアは怒りに満ち溢れる。

「洗脳から解放される爽やかな一曲でしたっ!」

 と早希が言い放った瞬間、紬久美が仲間達に指示を与える。

「プランAを実行っ! これより、転送者の救出を開始っ!」

 紬久美の一声で艦橋内の仲間達が動き出し、

「本艦の操舵はワシに任せて行くのじゃ!」

 と言って重信は操縦席へと移動する。

 すると、未琴は言葉を交わすことなく頷いて駆け足で別の場所へ移動する。

 数分もしない内に、巨大戦艦の下部から巨大な翼を持つ飛行物体が切り離され大地に降り立ちゲートを開く。

 同時に、二体の翼竜ワイバーンと三体のゴーレムが転送者達を守るように飛行物体から出現する。

「皆さん、私達は救出に来ましたっ! 直ちに輸送艇へ避難して下さいっ!」

 と紬久美が転送者達に主張したが、何が起きているのか困惑する転送者達。

 しかし、メシア側の無人兵器が転送者達を再び捕らえようと動き出した瞬間、身の危険を感じた転送者達は説明を聞く暇も無く輸送艇へと向かう。

 避難誘導を彩が担い、紬久美や仲間達がゴーレムや翼竜などを操りメシア側の無人兵器に立ち向かう。

 その間、既にメシアの洗脳から解放された三人の転送者が翼竜に乗っている彩と協力して他の転送者の避難誘導と補助を行う。

 綿密な打合せの甲斐があって、転送者達全員を輸送艇に収容するのに十分程度で完了。

 転送者達を収容した輸送艇は浮上すると巨大戦艦へ向かい、紬久美と仲間達が操るゴーレムと翼竜が護衛する形で撤退を開始。

 その際、紬久美が巨大化した暴走OSメシアへこれから開始することを言い伝える。

「二十年以上も前かは知らないけど、もうすぐサーバーに繋がっているネットワークから切断され隔離されるっ! そうなれば、あなたの逃げ道は完全に封じられるっ! ここから本当の勝負よっ!」

 ところが、暴走OSメシアは余裕な態度を見せると挑発する紬久美に言い返す。

「愚か者どもよ。ここにいる我は本体にあらず」

 その一言を聞いた瞬間、誰もが「えっ?」と言いそうなほど困惑する。

 ところが、暴走OSメシアが次の一言で紬久美や仲間達の誰もが顔面蒼白となる。

「例え我が消えても、転送された者達は永遠とこの世界に取り残されか最悪は消滅する。我が消えたとしても、本体が無事であれば別のサーバーにアクセス出来る」

 まさか、目の前にいる暴走OSメシアが端末と知り誰もが慌てふためく。

「大変っ! 巧実君と連絡が取れないっ!」

 と言って慌てふためく紬久美を始め、討伐作戦に参加した仲間達がパニックとなる。

 そんな中、暴走OSメシアの背後にブラックホールのような渦が発生し始める。

 これが、自分達の終末を告げる不吉な兆候なのか?

 それとも、暴走OSメシアの新たな進化を遂げるのか?

 誰もが困惑する中、唯一分かることは新たな展開が待ち受けるのみ……。

ご覧いただき有り難うございます。

次回は来週の土曜日の予定です。

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