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6.一方、両親は。







 ――一方その頃、王城では。



「おお、英雄アキトに聖女セレナ! よくきてくださった!!」

「お久しぶりです。大臣」

「ご無沙汰しております」



 国王へ謁見する前段階として、アリスの両親であるアキトとセレナは顔馴染みの大臣と会っていた。恰幅良く、頭の禿げあがった大臣は二人を見るとにこやかに、しきりに手を揉んでいる。昔からこの人物は目上の相手に対して、よく媚を売っていた。

 そのことは承知しているので、英雄夫妻はあえて何も言わない。

 そして単刀直入に、こう訊ねるのだった。



「ところで、僕らを招いていた理由についてですが――」



 それというのも、魔王軍に勝利して以降。

 事あるごとに村に兵士を寄越し、城へ来るよう願い出ていたことについて。アキトたちは不思議に思いつつも、子細を語られなかったので詳しくは知らなかった。

 だが、実際に足を運んだ以上は無視できない。

 そう考えたのだが、彼の問いかけに大臣の表情は凍り付いた。



「い、いや……あ、はは……」

「いかがなさいましたか?」



 そして、あからさまに狼狽える。

 これはきっと、何かある。


 セレナがそう考え訊ねると、大臣は観念したように言うのだった。




「実は、近隣のダンジョンで異様な魔物が目撃されておりまして……」




 彼曰く、その魔物には並の魔法では太刀打ちできない、とのこと。

 しかしアキトは歯切れの悪さから、大臣がまだ何かを隠していると察した。



「それなら、彼女を招聘すればよろしいのでは?」

「は、はて……? 彼女、と言いますと――」

「イナンナですよ。僕らと旅をしていた」

「………………」



 なので、この場にいない仲間の名前を出してみる。

 すると大臣の表情はさらに曇っていく。

 そして、



「……それはもう、できないのです」



 心底参った、といった様子で頭を抱えるのだった。

 いったい「できない」とは、どういうことか。アキトたちが顔を見合わせていると、大臣はついに観念したらしくすべてを白状した。




「あの者は、ハーフエルフでございましたから。その、国外追放に……」――と。




 それは、あり得ない処遇に違いなかった。

 アキトとセレナは、驚愕して思わず声を失う。

 それでも、どうにか絞り出して大臣の胸倉を掴んで問い詰めた。



「いったい何故!? 彼女は世界救済の功労者です! それなのに……!」

「あまりにも、あまりにも酷いですわ!?」

「いや、しかし理由が……!!」



 だが、彼の言い訳が通用するはずもない。

 アキトは怒りのままに彼を投げ捨て、国王の私室へと足を向ける。



「話は直接、国王陛下と致します。……もちろん、貴方の処遇も」

「ひ、ひぃ……!!」




 そうして、一つの事件が動き始める。

 アリスはまだ、そのことを知りもしなかった……。



 


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