3.魔法対決。
やっぱ対等くらいの仲間は、必須だよなぁ!?(癖
あ、次回更新は18時です!
「な……アークドラゴンを単独で撃破、だと……!?」
「はい! これで、合格ですよね!?」
私が元気よく返事をすると、ダスクさんは目を丸くして頭を掻いた。
そして、しばし考え込んでからこう口にする。
「仮とはいえ、証明書がおかしくなるとは思えない。だが――」
「あー……もしかして、疑われてますか?」
「……それは、そうだろうよ」
こちらが察して訊ねると、相手も思わず苦笑して答えた。
どうやら、やりたい放題やろうとした弊害が出てしまったらしい。ダスクさんは何度も私と証明書を見比べて、大きなため息をついていた。その上で、難しい顔で――。
「数日ほど、上と相談する。だから、それまでは――」
待機を指示しようとした時だ。
とても軽快な声色で、
「あぁ、その証人にならアタシがなるよ。……見てたから」
一人の同い年くらいの女の子が、そう話に割って入ってきたのは。
驚いて見る。腰まである長く赤い髪に、金色の瞳。見惚れるような端正な顔立ちに、尖ってはいるがやや丸みを帯びた耳。エルフにしては、少しばかり違和感があった。
装備は全身を覆う白のローブに、先端に赤の宝石が飾られた黒の大きなロッド。
一見して魔法使いだと分かる彼女は、私を見て「にひひ」と悪戯っぽく笑うのだ。
「……ニケ、か。お前ほどの奴が言うなら、事実なんだろうな」
「そーよ? アタシが嘘つくわけないし!」
「それについては、異論があるがな」
二人は顔見知りで、ニケはすでにかなり認められた存在らしい。
ダスクさんはまた腕を組んで考えて、やがて諦めたように大きくため息をついた。そしていくつかの書類にチェックを入れてから、一枚のカードを私に手渡す。
「そういうことなら、認める。今日からお前さんは、冒険者だ」
「……あ、ありがとうございます!!」
どうやら、これが本物の冒険者カードというものらしい。
右端にはランクが記載されており、いまの私は――。
「あれ、いきなり『Aランク』で良いんですか?」
「あー、そりゃな。アークドラゴンの単独討伐を加味すれば、そうなる」
ダスクさんは、渋々といった表情で言った。
そのことに私はどこか誇らしく、ついつい口角が緩んでしまう。すると、
「へぇ、初めてでそれは凄いね。でも――」
そんなこちらに、水を差したのはニケだった。
彼女は変わらぬ調子で笑みを浮かべたまま、こう口にする。
「アタシは最初から『SSSランク』だったけど、ね?」――と。
それを耳にして私は、どこか背筋が凍るような感覚になった。
そして同時に、あることを理解する。
いま、私はこのニケという女の子に『小馬鹿にされた』のだ、と。
「む……!」
「おやおや? その表情は、対抗心剥き出しってとこかな」
思わずむくれると、さらに煽るようにしてニケが続けた。
私はあえて何も答えなかったが、それでもこちらの意図は汲まれたらしい。
「だったらさ、試してみる? アンタの魔法と、アタシの魔法――」
彼女は、カツンっとロッドを鳴らして宣戦布告するのだ。
「どっちが上なのか、ってね?」――と。
◆
――場所は移って、王都外れの森の中。
私とニケは一定間隔の距離を取って、互いを見合っていた。
自分のことながら情けないけど、あそこまで挑発されたら無視できない。そして何より、修行の相手をしてくれた両親のことも小馬鹿にされた、と感じてしまった。
実際はそうではない。
それは理解しているけど、これは感情の問題だった。
「それじゃあ、どっからでも撃ち込んできなよ。……最大火力で、さ?」
「……………………!」
ニケがロッドを構える。
すると、彼女の周囲の魔力の流れが大きく変動した。
まるで大きな渦のようなそれを目の当たりにして、私は一瞬だけ気圧される。でもすぐに分かった。彼女の魔力総量は、私よりも少ないと。
だったら、どうするか。
本気で撃ち込んだら、相手が大怪我をするかもしれない。でも――。
「後悔、しないでよね……!!」
私はあえて、一度に放てる最大量の魔力を一撃に込めた。
それはアークドラゴンを討伐した時の数倍。それこそ、この一帯を吹き飛ばしても構わないとした一撃に他ならなかった。
「いっけええええええええええ!! ――【ライトニング】ッ!!」
稲妻が、明確な意思を持ってニケへと向かう。
そして狙い過たず、彼女の全身に強烈な損傷を与え――。
「へぇ……? 思ったより、やるね」
「……え?」
そう、思ったのに。
土煙が風に払われた先に、少女は平然と立っていた。
ただ、悪戯っぽい笑みを浮かべたまま。
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