入学式―序章
君と出会ったのは偶然か奇跡か―
君と会えたのは幸運か不運か―
それはいつまでもわからないだろう
桜―…
ふと見上げると、桜の花が舞い散っていた。
今日は、中学校の入学式。
空はどこまでも青く、澄みきっている。
絶好の入学式日和――入学式に絶好、などあるのだろうか――だ。
私は、今年中1になる黒川 愛香。
今まで通っていた小学校は規模が小さく、少しのことでは動じないと自分でわかっている私でも、今日はとても緊張していた。
初めてこの制服で外へ出た―
初めてこの学校に生徒として―児童から生徒に変わって―来た
制服の乱れ1つ1つに、言葉遣いの1つ1つに、気をかけて行動する。
誰もいないことを確認して、深呼吸をする。
そして、珍しく廊下についている等身大の鏡で、もう1度自分の身なりを確認した。
「ふぅ・・・」
大丈夫なことを認め、その鏡からずれて自分の教室へ向かった。
―その時。
ドンっっ
「!?」
鏡から1mほどの曲がり角を曲がってきたあろう生徒とぶつかった。
私もさほど身長は高くはない、むしろ小さいくらいだが、今ぶつかった生徒は私より小さかった。
少なくとも3年生ではないことがわかる。
「あっ!ごめんなさい!!!」
彼女は、小さな顔に元気な表情を浮かべて謝ってくれた。
こう書くと悪びれた様子もなく、という雰囲気だが、どこか申し訳なさそうに軽く頭を下げていた。
「えっ、あっ、こちらこそっっ!よそ見してたので....」
焦りながらも自分も頭を軽く下げる。
すると彼女は謝らなくていいですよ、と言って微笑んで、私の横を小走りで過ぎていった。
その時のあの子の印象は、元気で、小柄な女の子、くらいにしか思っていなかった。
1年生かな、クラスはどうかな、くらいは思ったけど、そこまでして知りたいとは思わなかった。
まさか、この子が―――私の悩みのタネになるとは、思ってはいなかったから。
私の良心と、嫉妬心、そして憧れの感情の狭間で。
初投稿です!
よかったら感想、アドバイスなどお願いします...
愛香という主人公は、一応自分に見立てていますっ!
彼女…沙代は、私の友達がモデルです!
連載するので、まぁ読んでやるぜって方がいたらよろしくお願いします!




