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対魔師  作者: 魚右左羊
2/27

1、焔村綾音

 焔村綾音は16歳。

 対魔師育成学校、【志奉学園(しほうがくえん)】に通う高等部対魔科1年生だ。

 焔村家は代々続く対魔師の家系で、主に炎を操る術を用いて妖魔を退治してきた旧家である。

 綾音は幼少時、芸能活動を行っており、アクションが出来る子役として数多くの特撮ドラマや映画に出演、人気を博してきた。

 しかし4年前に突如、芸能活動を休止を発表。

 これは対魔師になる為でありその後、志奉学園に無事合格。現在に至る。


 早朝、目覚ましのアラーム音で目を覚ました綾音はまだ寝ている脳と身体を起こす為に浴室へ。

 熱いお湯を頭から浴びてようやく覚醒。

 そのまま身を清める。

 立ち込める湯気が充満する浴室から出てバスタオルで水滴を拭って身体に巻いた後、赤くて長い髪をドライヤーで乾かして制服に着替え、朝食の準備。

「いってきます。」

 神棚に飾られた写真立てに映る20代の女性に見送られ一人暮らしの部屋を出る。

「おはようございます、お姉さま。」

 通学路途中、背後からの声に振り返るとこちらの方へ白い息を吐きながら駆け寄る茶色のコートを着た女子生徒の姿が。

 赤いカチューシャを身に着けた藍色のショートカットが駆け足に合わせて揺れる。

 彼女の名は花条院(かじょういん)京香(きょうか)

 志奉学園中等部3年で綾音の一つ年下。

 幼少時からの知り合いで綾音の事を「お姉さま」と呼び慕っている。

「おはよう京香。今日も登校するの?」

「はい、勿論です。主席合格を目指していますから。」

 中等部3年は先日から高等部への入学試験の為、自主登校中。

 多くの生徒は自宅での勉学を選ぶ中、京香は毎日登校。

 その理由は先程述べた事のそうだが、敬愛する綾音と一緒に登校することが本命であった。

「見ててくださいね、お姉さま。絶対に主席合格してお姉さまのお役に立ちますから。」

「ええ、期待しているわ。」

 と肩を並べて和気藹々と通学路を歩く二人。

「そういえば聞きましたよ、お姉さま。昨夜一人で妖魔を倒したのですね。」

 流石です、と尊敬の眼差しを向ける京香。

「これでクラスAのへ昇格が一歩近づきましたね。」

「ええ、一日も早くクラスAにならないと。」

 綾音は決意の言葉を左腰に携えている妖刀『夜叉丸(やしゃまる)』へと告げた。


 対魔師は対魔課(たいまか)が設立されて以降、特別国家公務員資格となっており、ランクを設定。

 クラスC~最上位クラスSの4段階に分けられる。

 クラス昇格は試験の合否で決まられる。

 綾音は現在クラスB。

 高等部1年でクラスBを所持しているのは彼女を含めて3人のみで一つ上の学年でもまだ3分の1しか取得できていないことから彼女がどれほど優秀なのかがわかる。

 因みに京香は年齢制限の為、クラスC。

 高等部入学後すぐにクラスBの昇級試験を受ける予定だ。


「とはいえ、クラスAへの道のりは長いわ。」

「そうですね。この前の昇級試験は残念でしたね。惜しくも昇格ならずでしたから。」

 綾音は数カ月前、クラスAの昇級試験を受けていた。

 筆記と実技、共に優秀な成績を収めたのだが、結果は不合格。

「不合格の理由が現場での実践不足だなんて理不尽です。お姉さまより成績を劣る大人達が受かるのも納得いきません。」

 その当時の事を思い出した京香は憤慨。

「だからこそ、今こうして実践を積んでいるのよ。とはいえ時間が足りないわね。」

 学校に通っている為に平日の昼間は時間の確保がままならず、平日の夜や土日だけではどうしても実戦経験が足りないのである。

「次の昇級試験は三月。それまでにもっと実践を積みたいのだけど・・・。何かいい方法はないのかしら?」

 彼女には大きな目的があり、その為には何が何でもクラスAにならなければならないのだ。

 その事を知っている京香は綾音にある提案を持ち掛ける。

「あのお姉さま、それならばインターン制度を利用してみてはいかがですか?」

「インターン制度って確か、民間の対魔関係の会社や対魔課で実際に現地の仕事を体験する制度の事よね。でもそれって高等部3年でないと受けれないはずじゃあ・・・。」

「いいえ、インターン制度は高等部3年生、もしくはクラスB以上であれば利用できるのです。この前、調べたので間違いありません。」


 京香の実家である花条院家は対魔師業界では名を知れた名家。

 彼女の祖母、花条院(かじょういん)玲香(れいか)は志奉学園の理事長兼学園長で対魔課の最高顧問という重鎮でもある。

その為、京香は志奉学園に関する情報を数多く持っているのだ。


「インターン制度の申し込み書は進路室に行けば誰でも貰えますし、お姉さまなら採用間違いなしですよ。何せ()()()()()()()()()()()()なのですから。」

「そうね。ありがとう京香。私受けてみるわ、インターン。」

 京香の言葉に背を押され、インターン制度を利用することを決めた。

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