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対魔師  作者: 魚右左羊
17/27

16、行き先

「全く酷いよ亮さん。」

 昼休み。学園長室に呼び出された夢為人が開口一番でクレーム。

「おかげで今までずっと質問責めで疲れたよ。今日の午前中はずっと居眠りしようと決めていたのにさ。」

「それは聞き捨てならないね。授業初日から居眠りとは何を考えているんだい。」

 玲香の批難的視線が夢為人を抉り刺すが本人はどこを吹く風。反論を口にする。

「だったらこの二人を何とかしてよ。連日俺の家に押しかけてきて入居祝いだ、入学祝いだの言って夜通し宴会しに来ている二人を。おかげで睡眠不足とゴミが溜まる一方だよ。」

「この数日、夜になるとそそくさ出かけていたのはそういう理由だったのかい、二人とも。」

 玲香の批難的視線は夢為人から後ろに控えていた橘亮と源蔵へと移動。

「まぁいいじゃないですか婆さん。再会を祝しての事。飲みニケーションさ。」

「悪き習慣だね。」

「すまないね夢為人。この二人には後でキツく言っておくよ。」

「で、俺を呼んだ理由は?」

「用は他でもない。調べ事の結果が出たのさ。」

 玲香の発言に欠伸を噛み殺し眠たそうな顔つきから仕事人へと変貌する。

「やはりカミキリは自分の意思で人里に降りたらしい。そして街中に潜伏しておる。」

「潜伏先は?」

「そこまでは分からん。どうやってかは知らんが上手く隠れておる。足取りが掴めん。」

「となるとやはり清河梨沙に会うしかないか。」

「そうなるね。ワタシの方から先方に伝えておいたからすんなり会えるはずじゃよ。」

「さすが元対魔課局長。顔が広いね。」

 防衛省の特別部署として創設された対魔課。その局長として永く勤めてきた玲香は政治家のみならず多方面の著名人との繋がりを持っている。

「じゃあ、早速会いに行くとするかな。午後の授業は公欠という事でよろしく。」

「待ちな。」

 颯爽と退室しようとするのを呼び止める。

「アンタ一人で行く気かい?残念だけどそれには及ばないよ。源蔵と綾音を連れて行きな。」

「え、何で?源さんはいいけど何で焔村綾音も?」

「ウチの大切な生徒――綾音をあそこまで追いやったんだ。最後まで面倒を見るのがが筋、てもんさ。」

「大切ならあんな怪しい会社にインターンさせるなよ。」

 この指摘に言葉が詰まる玲香。

「神太曲が勝手に認めたんだよ。全く一年は絶対にインターン制度を使わせない、てアレ程言ったのにね。」

「神太曲陽生?婆さんの血筋の。」

「ああ、そうさ。ワタシの弟の孫さ。対魔師としては優秀なのだがね。」

 愚痴をこぼす玲香。彼女は身内に対してかなり厳しいのである。

「綾音君は神太曲教諭の担当でね。彼女の指導は彼に一任していた。」

「その結果がアレだった訳か。人選ミスじゃないか。」

「身も蓋もないが、何も言い返せないな。」

「ワシ達も一応忠告はしたぞ。復讐心を抱かせるな、と。だがな、アヤツは『怒りこそ力。成果は出ている。』などと言って聞く耳を持たんかった。」

「人手不足が今、響いておるよ。」

()()()()()()()()()()・・・。」

「滅多な事を言うんじゃないよ!!!」

 夢為人の発言に激怒する玲華。

 おもわず「ごめん。」と言葉が零れる。

「ともかく、神太曲は修行に出した。その間はアンタに面倒を見てもらう。いいね。」

「拒否権は?」

「ある訳なかろう!アンタもクラスSなんだ。その自覚を持ちな。」

 玲香の迫力ある睨みに夢為人はただ頷くことしかできなかった。

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