Patrick Vegee
レビュー執筆日:2021/2/8
●華やかな楽曲群と「流れ」で聴かせる、アルバムらしいアルバム。
【収録曲】
1.Hatch I need
2.マーメイドスキャンダラス
3.スローカーブは打てない(that made me crazy)
4.Catch up, latency
5.摂食ビジランテ
6.夏影テールライト
7.Phantom Joke
8.世界はファンシー
9.弥生町ロンリープラネット
10.春が来てぼくら
11.Simple Simple Anecdote
12.101回目のプロローグ
前作から約2年半ぶりにリリースされたUNISON SQUARE GARDENのアルバム。今作ではギター・ベース・ドラム以外の楽器はほぼ使われておらず、全体的に音使いがタイトになった印象がありますが、楽曲から溢れ出る「華やかさ」は健在です。冒頭を飾る『Hatch I need』のギターリフはのっけから高揚感を煽ってきますし、『世界はファンシー』の次々と繰り出される早口のボーカルは聞いていて非常に爽快。『101回目のプロローグ』の間奏の7拍子の複雑なフレーズは耳にするだけで圧倒されます。
また、今作はアルバムとしての「流れ」も非常によく考えられている印象を受けました。全体的に手数の多いアップテンポな曲をメインとしながらも、テクニカルな要素を抑えた『摂食ビジランテ』や『弥生町ロンリープラネット』のような曲も収録して上手くバランスをとっていますし、今作では異色と言えるストリングスを強調させたポップなナンバーの『春が来てぼくら』もアルバムの一つのピースとして上手く機能している印象があります。また、「『夏影テールライト』が『ジョークってことにしといて』というフレーズで終わって『Phantom Joke』が始まる」のように曲の最後のフレーズが次の曲を表している箇所がいくつかあり、「遊び心」に近い感覚で「流れ」を表現しているところも。
更に言えば、アルバム全体の歌詞の雰囲気に関しても「流れ」が形成されているように思えます。序盤から中盤にかけては「私を 私を 私を 私を」(Hatch I need)や「アイズワイド! 頼んだってさぁ」(スローカーブは打てない(that made me crazy))のように意味よりも語感を重視したものがメインとなっていますが、終盤になると「新しいページに絵の具を落とす」(春が来てぼくら)や「今日はなんとかなるぜモードでいいや」(Simple Simple Anecdote)のように意味を重視した「心に残る」感じのフレーズが増えてくる印象があり、これによってある種のストーリーがアルバムという形で表現されているように感じられました。
アニメのタイアップ曲を多く手掛けるバンドなので、曲単位で彼らのことを知っている方も多いかもしれません。確かに単純に曲単位で聞いても充分に魅力的ですが、そういう方にも「アルバム単位で聴いてほしい」と薦めたくなるような一枚でした。
評価:★★★★★




