歩き出す
なんやかんやありながら、僕が僕であるとわかってもらえたらしい。
「で、これからどうするのよ、このままだと飢え死にするだけだと思うんだけど。」
「そこにかろうじて土の道みたいなのはあるから、それを辿ってけばいいんじゃないかな」
馬車や人が通るのか、そこだけ草が生えていなく道のようになっていた。
幸い寒くも暑くもなく、ちょうどいい気温のため気にするのは水と食料の問題のみだ。
「そういえば、私の魔法ってどうなったのかしら、なんだか制約があるとか言っていたけど。」
「とりあえず、なにか使おうとしてみたらいいんじゃないかな?」
「そうね、じゃあ...ファイアボール!」
蜜璃は自分の前に掌を突き出し、目を瞑りながら詠唱?をした。
「...何も起こらないね」
「んー?何が問題なのかしら」
「この世界にどんな魔法があるかも分からないし、とりあえず街に行けるように歩いてみようよ」
「それもそうね。じゃあ行きましょうか。」
そう言って僕達は、半ばハイキングのような気持ちで歩き出した。
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「ちょっと!?これいつ着くのよ!」
蜜璃が歩きを止めて話しかけてくる。確かにもう体感では2時間ほど歩いているが、一向に街が見える気配がない。
「ぼ、僕にもわかんないよ...」
というかまだこの体で歩くことに慣れていない。
蜜璃はほぼ前世の体のままで転生したようだけど、僕は女にしてもらったから何もかもが違う。
この細い足と腕が視界に入る度に違和感を覚える。まあ可愛いからいいんだけどさ。
このままあと1時間も歩いて街が見えてこなかったらちょっとまずいかも...
なんて思っている時、横の草むらからガサガサっと音がした。
なかなか時間が取れないため1話1話が短くなっていて申し訳ないです...!次の投稿日は火曜日なのですがもっと内容詰めて書きます!!