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5/9

5,前進あるのみです!

はぁ、はぁ……。なぜか突然使命感に襲われたので書き上げました。

出来立てほやほやなので、あとで書き直す可能性高めですが、どうぞ。


悩んだ。

これからの道について、私の生き方について。


「私はただ推しに幸せになってほしい。そのためなら、何でもする」


そう、私が言う。


「私は公爵家の一人娘。お母様とお父様を悲しませることは、出来ない。家の顔に泥を塗るような真似だけは、したくない」


そう、(ディーナ)が言う。


悩んだ。

ともすれば相反する二つの願いを一身に抱えながら、必死に考えた。


私の想いを、(ディーナ)の願いを。


どっちも、見捨てない方法を――――。



長い長い夜道の先、先も後も見えないような暗い暗い思案の末、求めた一筋の光に、そっと手を伸ばして―――――――――。




息を吸う。

そして、口を開いた。


「皆様初めまして、新入生のディーナ=フィーラーです。本日は、私たち新入生のためにこのような素敵な場を用意してくださったこと、本当に有難うございます。本日は――――――」


そんな言葉から始まる、挨拶。


「――――です。私は、この学園で、身分の分け隔てなく多くの方々と親睦を深められることを楽しみにしています。身分など気にせず、お気軽に声をお掛けください――――」


私が悩みぬいて思いついた作戦は、シンプル。

名付けて「私政治に興味ありませんアピール」作戦!


……もう二度と名づけなんてしません。



と冗談はさておき。

私の今のスピーチには、作戦名通りの意味が込められている。


まずそもそも、なんで私は幼いころから婚約していたのか。

そう、政略的結婚ってやつなのだ。……多分。

少なくとも、親たちや、大半の貴族の間での認識はそうなってるはず!


つまり、何が言いたいかっていうと、基本的に子供も一人の貴族という考え方な中、私は政治世界から身を引くと宣言していこうとしているってこと。


婚約、結婚なんてまさに政治。

多分だけど、私と王子様の婚約の、大人たちから見た目的は公爵家と王族の関係強化だと思うんだよね。

地球でも貴族の結婚って言ったら人質とか関係強化とかだったし。


だけど、私は政治の駆け引きから身を引く。

ただひたすら、公爵家を守ることに全力を注ぐのだ!……私が公爵家を切り盛り出来るかは置いといて。


ここで難しいのは、いくら私が婚約を破棄したくても身分的にこちらから破棄を申し出ることは出来ないということだ。

身分差、めんどくさい……。


だから直接婚約破棄するんじゃなくて、相手側から破棄してもらえるように動く必要があるわけなんだけど。


正直、ただ私が政治世界から身を引いたといったところで婚約破棄してもらえるかは怪しい。

とりあえず今、私は例の婚約に一つマイナスポイントを付けた。


それは、私が政治に興味がない、という宣言そのもの。

王子との婚約ということは、自然とその人はのちの王妃。

当然、皆の上に立つわけだからそれ相応の素養が必要とされるわけ。


なのに、私は政治に興味がないと言っている。これは、私を娶るうえでの一つの足かせとなる。



もう一つの作戦もうまく活用することで、王子様から婚約破棄を言ってもらえるように頑張る必要があるんだけど。


そんなことを考えながら、演説を何とか終了させた。

絶対に王様の方は見なかった。見たら最後、次にいう言葉を全部忘れる自信があったからね!


「――――以上です」


実は、私のスピーチはほかの人と比べてかなり短い。

いや、私の感覚で言うと他の人が長すぎるんだけどね?まあそれは置いといて。


こういった公の場での演説は、そのまま自分の力の大きさを表現する場でもある。

如何に自分が有能か、如何に自分が凄いことをしてきたかこれからするのか、などなど。


まぁ、言ってしまえば政治的パフォーマンスだよね。地球でわかりやすく言うと、自分の売り込み。

だから、削った。


私は政治に興味ないからね、自分を政治社会に売り込む時間なんていらないんだよ!


そんな私の思惑が、どれだけ通じたのかはわからないけど、とりあえず私に考えられる方法ではこれが限界だった。

出来るだけ、公爵家に傷がつかない方法で婚約破棄に持っていけるように考えたつもり。



一礼。

優雅に歩みを進めて席に戻ると、お母様が優しく微笑んでくださった。



「お嬢様」

「あら、ありがとう」


のどが渇いたと思った次の瞬間、カリーナが紅茶を差し出してくれる。

私のメイドさん優秀すぎる……。


***


「続いて、ユーラウス=アルカミック」


今年の答辞は二回ある。


初めに王子様――ユーラウス様の婚約者である私のスピーチが入り、次にユーラウス様本人のスピーチがあるのだ。


金色の髪に、引き締まった高身長の体。

人間離れするほど整った顔に、意志の強さを伺わせる金色の瞳。


その堂々とした佇まいに、多くの生徒が圧倒されていた。



「――カッコイイ……」


かくいう私も、見惚れていました。


誰か助けて!


推しが尊すぎて死んでしまいます!!


いや、もう死んでもいい!あ、嘘!ヒロインに会わないと死ねない!



半ば倒錯していた私を置いて、入学式は進行していく。


「新入生代表、ユーラウス=アルカミックです――――――」


王者の風格を漂わせながら、力強く話すユーラウス様に、私の心臓が持ちそうになかった。



――ああ、幸せです――――。


閲覧いただきありがとうございます。

おかげさまですでに総合評価50を超しています……!なんで……?

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