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2/9

2,改心しました!(?)

さて、別の世界線の私が失踪したところでこんにちわ。

多分みんな忘れてた、私も忘れてたお話。


ブクマしてくれている人がいたので、更新せざるを得ませんでした。

やったるぜちきしょー!(本当にブクマ有難うございます<(_ _)>)

~君の瞳を~は、私もドハマりした、超人気恋愛ゲーム。


舞台は、中世ヨーロッパと今の日本が混ざっているような、不思議な世界。

貴族制度があって、貴族たちが通う中学校、高校がある。学校方針では身分は関係ない、と銘打たれているけれども、実際は政治的な思惑がぎっしり詰まった醜い大人の箱。


親が繋がりを持ちたい家の子供と自分の家の子供を仲良くさせようと画策したり、権力を持っている家の子供から不利な言葉を引き出して言質を取ろうとしたり。


子どもに、そういう貴族たちのやり取りを学ばせるという意味もあるから、黙認されているけれど、子供が政治に使われてしまっているのはどうなんだろう、とゲームをしながら思っていた。


ゲームは高校から始まる。


身分の低いヒロインは、高校で令嬢たちに馬鹿にされていたところをディーナに庇ってもらい、仲良くなるのだ。

その後も中を深めていく二人だけれど、王子様が来たことで話は変わってしまう。

天使の様に可愛らしいヒロインに、王子様が惚れてしまったのだ。


公爵家の一人娘で、幼馴染でもあるディーナという婚約者がいるのにもかかわらず。

しかし、ディーナも初めは許容していた。一時の気の迷いだろうと。

どのみち私が婚約者、それが代わることはないと。


だが、そんなディーナの思いとは裏腹に、王子はドンドンとヒロインにのめり込んでいき、ヒロインもまた王子を好きになっていってしまう。


その有様をずっと見ていたディーナは、友達と婚約者に裏切られた悲しみ、そして好きな人を取られたというヒロインへの嫉妬に狂い、様々な嫌がらせを始めてしまう。


そうやって狂って言ったディーナは、最終的に王子によって嫌がらせを暴かれ、婚約を破棄される。

そして、許容できない罪を犯したディーナは身分をはく奪され、ヒロインと王子は結ばれて幸せになる、というハッピーエンドのストーリーだ。



そして、最後にディーナが断罪されるシーン。

普通の恋愛ゲームだと、悪役は改心も何もせずにヒロインを恨みながら罰を受けるものが多く、悪役令嬢が好きな人にとって後味が悪いものになってしまう。


特に、このゲームではディーナも最初から悪役として描かれているわけではなく、嫉妬に狂って悪役になってしまうという設定上、他のゲームよりも悪役令嬢への好感度は高かった。このゲームは、そういった人への配慮もしてあったところが、人気の理由の一つなんだと思ったのを、覚えている。



元々、途中から嫌がらせを主にしていたのはヒロインのことを蔑んでいたディーナの取り巻きで、ディーナ本人は余りそう言うことには乗り気ではなかった。それは、取り巻きの嫌がらせが余りに過激だったから。


更に、断罪騒ぎを聞きつけてとんできたディーナの父に叱られたり、母に泣かれたりと、歪んでしまってからも身内には優しさを忘れなかったディーナの心にグサグサ刺さるシチュエーションがいくつも起こったことで、ディーナの涙腺が崩壊。


泣きながら今までの行いを両親に詫び、最後は落ち着いてから王子とヒロインに直々に謝りに行った後、自ら甘んじて平民になる。


そして、改心したことを理由に王子様とヒロインが庇ったことで、罪が軽くなり、数年間平民として暮らした後に再び公爵家へと戻れることになるという、最悪のエンドよりは幾らか気持ちも楽になるようなエンドが待っている。


まあ、見方によってはざまぁの矛先が向けられなくなって、不完全燃焼になってしまうとも見れるけれど、大体はこのエンドに肯定的で、後腐れなくハッピーエンドを迎えられるヒロインと王子をみんなが祝福した。


その、ディーナのポジションに、私は今いるというわけだ。

まだ、ヒロインに出会っていない、高校入学前の。






プレイしていたゲームの設定を思い返す中、ふと、ゲームのエンディング画面を思い出した。

幸せに満ち溢れた笑顔で柔らかく笑う、王子様とヒロイン。


花がいっぱいに咲き誇るそのイラストを最後に、ゲームがクリアとなる。

あの絵を見た時には、感動して思わず泣いてしまった記憶がある。

心の底から、お互いを信じあって、愛しあった二人の、通じ合った笑みが、あまりにも尊すぎて、あわや召されるところだった。


私は、王子様とヒロインに結ばれて欲しい。

あの絵を思い出した私は、そう願った。私は、悪役令嬢らしく身を引こう、と。

別に、大して王子に執着があるわけでもない筈だったし。



なのに。




―――――いや……!



王子様が他の人に心を向ける。

そう考えた時、胸の奥に痛みが走った。


何が起こったのかわからず、呆然としてしまう。


心の奥で、誰かが泣いてるような。誰かが、そこにいる。あなたは、誰なの……?


――――***様と結婚するの!


頭の中に、不意に何かが映った。

これは……?



―――――ディーは、***様と結婚するの!


―――――うん、約束だよ!


―――――ぜったい、ぜったいだからね!!



息が苦しくなる。

そこにいたのは、無邪気に笑う、幼き日のディーナと王子だった。


結婚を宣言するディーナを、愛おしそうに見つめる王子と親たち。

それは、ディーナの心の奥底に仕舞われた、大事な大事な宝物。


「あぁ……そっか」


分かった。すっと、腑に落ちるような感覚。

頭ではわかってたつもりだったこと。ディーナの、単純で、ひたむきな想い。


「好きなんだね……王子様のこと」


ずっと、そうなのだろう。

ずぅっと、恋焦がれてきたのだろう。

小さいころから、ずっと、ずっと。




王子様のことが、大好きなんだ、ディーナは。



自然と、笑みがこぼれた。

大切そうに、心の奥に記憶をしまっているディーナの、可愛らしい一面に。




そして、ようやく決意をした。


――ディーナは今、私の中にいるんだね。


逸らしていた現実に、目を向ける覚悟。

私は、ゲームの世界のディーナの身体を、乗っ取ったのだ。


此処は、夢なんかじゃない、現実の世界なんだ、と。



「夢みたいな話だけど……現実なんだよね」


そう、ひとりごちる。

その時だった。


私の視界を、柔らかいピンクの光が埋め尽くした。

何故かは分からないけど、それがなんなのか、理解が出来た。


「あぁ……貴女がディーナなのね」


その柔らかい光は、頷くように一度眩く輝いたかと思うと、私の頭の中へと吸い込まれるようにして消えていった。


「        」


一言だけ漏れた、ディーナの心は、誰に聞かれることも無く、儚く消えていくのだった。


******


七紬は気付く余地もないことだが、ディーナが光となって七紬の頭の中に入った時、彼女の心に大きな変化が起こった。


ディーナの、狂おしいほどに王子を恋する気持ち。

七紬の、王子とヒロインに結ばれて欲しいと(こいねが)う気持ち。


ふたつは溶け合い、混ざり合い、やがてひとつの想いへと姿を変える。


恋という気持ちの表現を、結婚というもの以外で知らなかったディーナの想いは、七紬の恋愛観により指向性を持ち、やがて形を成す。



それは、「恋する王子様の幸せを、ただ心の底から願う」という、純粋な気持ち。美しい、人の心。


―――――――――――誰かはそれを、愛と呼んだ。


******

そしてオタクはそれを、“推し”と呼んだ。



さて……(亀の被り物をかなぐり捨てる音)。カメの歩みだといったな?


あれは嘘だ!





多分、今の私の投稿速度は寝てる時のナマケモノぐらいだと思います。

てことで、何時か気が向いたらまた会いましょー!

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