私の初恋は名前も知らないあの雑草の花のように。
気づいたら私の隣には貴方がいて。
気づいたら恋に落ちてたの。
生まれる前からお家が隣で、誕生日もひと月だけ貴方が早くて。
いっつも一緒だった。
私は自分の意見を言うのが苦手だったから、貴方がそばにいてくれるだけですごく心強かった。
手を繋いで帰る途中に見つけた、白い花が私は大好きで。
それを友達に話したら雑草だって馬鹿にされた。
でも貴方だけは綺麗だねって言って、こっそり集めて小さな花束みたいにしてくれたの。
それがすごく嬉しかったから、お母さんに聞いて押し花にしてから栞にしたの。
ずっとずっと大切に使ってる。
それから春が来るたびに貴方はその花を束にしてくれて、
私のことを好きだよって笑顔で言ってくれるの。
それがある日から徐々に変わっていったね。
貴方が恥ずかしがるようになったの。
まずは手を繋ぐのをやめて。
次に一緒に帰るのをやめた。
休みの日には、いつもの所に来なくなって、貴方は友達と遊んでた。
気づいたら目も合わせてくれなくなった。
すごーく悲しくて泣いたの。でもお母さんたちが、今だけだよ。大丈夫。恥ずかしいだけ、元に戻れるって沢山言ってくれたから信じたの。
大人の言う通り、少しずつ前みたいに戻ってきて、すごく嬉しくて。貴方のためにすごく可愛い子になろうと思って、おしゃれの勉強をしたし、実は貴方の好きな目玉焼きも練習したの。
中等部が終わるころ、君に告白をされた。
黄色い花を持って…。
貴方は、昔からの夢の騎士になるための学校に行った。
私は家の近くの工房で、見習いになった。
忙しくてなかなか会えないけど、沢山お手紙を書いて、長い休暇には2人で沢山デートして。
貴方は騎士になって、私は針子になった。
なかなか会えないから一緒に住もうってなった。
すごーく幸せだった。
もうそろそろ結婚かな?なんて思ってた。
仕事が早く上がって、休みで家にいる貴方のもとへ早く帰ろうと思って走っていたら、貴方を見つけたの。
家の一本裏の道で、貴方の同僚の女性の騎士の人。
前に挨拶したことのある、笑顔の可愛い人。
隠れて抱き締めてキスをしていた。
道路の端にある、白い花の雑草を踏みしめて。
読んでいただきありがとうございます。